2024年度の大学おすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2024年度の大学成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年09月09日の時点で一番の2024年度の大学おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.9 1 2024年度の大学アニメランキング1位
ガールズバンドクライ(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (209)
441人が棚に入れました
高校2年、学校を中退して単身東京で働きながら大学を目指すことになった主人公。 仲間に裏切られてどうしていいか分からない少女。 両親に捨てられて、大都会で一人バイトで食いつないでいる女の子。 この世界はいつも私たちを裏切るけど。 何一つ思い通りにいかないけど。 でも、私たちは何かを好きでいたいから。 自分の居場所がどこかにあると信じているから。 だから、歌う。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

面白かったですが、最後はちょっとトゲナシになったかな。

 かなり楽しませてもらいました。面白かったです。トゲアリトゲナシのトゲアリの部分がうまく描けていたと思います。

 4話5話が少し話を作りすぎな気もしますが、見返すともうちょっと意味性があるかもしれませんので、夏アニメが始まる前にちょっと見ておこうかなと思っています。

 それと…この話って、結局ニナとモモカの出会いをスバルが取り持ってバンドが始まった感じですけど、このニナとモモカって、うまくいかない関係のような気がしますがどうでしょうね?ニナがモモカに依存していてそこに甘えを感じます。
 また、モモカがバンドのために書いている曲に納得感が自分でも無いように描いていました。それでも「私たちらしい」みたいなフワっとした言い訳の描写がありましたから。つまり「私たちらしい」にモモカも他のメンバーも違和感があり、それが解散につながるのかと思いました。

 モモカはアイドルとの音楽性との違いもあったようですので、もともとそういう体質のように描いているのかと思いました。

 その点で最終回…とその前の12話。今までの話とはちょっと違和感がありました。まあ、退所という描き方で、尖っている雰囲気は出してましたけど、彼女たちは5人の関係に固定してしまっているところがトゲナシになっています。
 私はモモカが抜けることで、新しいニナ…というかトゲトゲになる方が本作のラストにふさわしいかな、という見方をしていたので、悪く言えばマイルドエンドあるいは2期狙いとも取れなくないです。

 ということで話的には12話に入ったところまでは、かなりとがっていましたし面白かったですが、ラストが凡庸なのとトゲトゲのトゲがマイルドになりました。せっかくとがっていたのに何かに迎合した気がします。

 そうはいっても面白かったですけどね。勝手に比較対象にしていた「ヨルクラ」よりは全然面白かったです。

 作画は正直CGのレベルはやっぱり何とかしてほしいと思います。ただ、背景の見せ方や人物の配置、カメラワークなどは妙にセンスがいいので、かなり見られる画面になっていました。人物に途中から違和感を感じなくなったのは、CGモデル以外の出来がかなり良かったんだと思います。

 ということで、秀作認定したかったんですけど、結末のマイルド感に違和感がある以上、秀作とまでは言えません。ニナはそこまでトンがって生きてきたんだから、最後までもっともっととんがってほしいです。

 評価は…ストーリーは結末の違和感で4。キャラは良かったです。挑戦的でもありました、5点。作画は…迷います。CGはアレですけど画面が悪くないので…一応4にしておきます。そういえば声優さんもアレでしたね。彼女たちのたどたどしさは味ではありますが、評価せずで3にしておきます。

 客観評価は平均4ですが、主観的にはもっと面白かったです。






1話「ぼっちざろっく」の柳の下のどじょう?CGの使い方が…

{netabare}「夜のクラゲ…」と同時期に始まったという点で興味があって見てみました。両作とも「ぼっち・ざ・ろっく」の人気にあやかった「柳の下のどじょう」で終わるんでしょうか。それとも別の何かを見せてくれるのでしょうか。

 MMDの様な出来損ないの人物CGに強烈な違和感を抱きつつも、東京の丸の内北口の再現度の高さの無駄さ加減にちょっと驚きます。「リソースの使い方…」というツッコミを入れればいいのでしょうか。冒頭の新幹線内部の描写もあんな無駄なシーンを入れるなら違うところに力入れた方がよいのでは?
 ただ、あの丸の内のシーンで改札を出てしまっている感じがしたのですが、あそこの表現は何でしょう?よくわかりません。

 ストーリーは…うーん…自然と言えば自然な冒頭ではあります。寝過ごすところが無駄かなと思いましたが、鍵が受け取れないから出会いのシーンということで流れとしては悪くないです。
 牛丼屋のシーンにもヒロインの描写という点で意味はありましたし。充電はどこでもできるだろうと言う部分をあえて無視すれば、ですけど。

 まだ、ヒロインのモチベーションの描写がないので良くわかりません。「夜のクラゲ…」との対比でしばらくチェックしてみます。 {/netabare}


2話 ヒロインの作り方は悪くない気がしますが、話の行く末は単純明快なバンドプロモーションの気がします。

{netabare} ヒロインが自意識過剰が肥大してコミュニケーションが取れなくなった、非常に面倒くさいキャラ造形です。しかしながら、世間にこういう人は今多いかもしれません。
 そして、生きづらい、時代が悪い、世間が悪い、親や周囲が悪い、自分可哀想…と言って悲劇の主人公(男女とわず)気取っている人は珍しくない気がします。

 好意が素直に受け取れないのは、自分の投射でおそらく自分が人に対して被害妄想を常に抱いているということかもしれません。

 このヒロインに対し、どういう見方をするかですね。歳が離れていれば単純に性格悪い女に見えるかもしれません。世代が近ければ共感もあるかもしれまんせんが、同族嫌悪があるかもしれません。

 矢向駅って…随分面白い場所をご当地にしましたね。武蔵小杉、新川崎、綱島、川崎…そういうメジャーな駅の丁度ど真ん中の昔の川崎が残っている確かに何もない駅だったと記憶しています。そういう立地選定も作品の「気分」として悪くない気がしました。

 その辺のキャラ造形、ストーリーは古き良き青春物語の体裁ですが、ちょっと現代的だし舞台も設定も悪くない気もします。
 ただなあ、どう見てもバンドのプロモーションなんですよね。プロモーション臭が強すぎるでしょう。声優さんとか露骨すぎますよね。こういうアニメ作るときって、その意図を隠して意外性を持たせられないんですかね?企画が単純すぎる気がします。

 これから仲間が増えてって、受験とか家族とかでいろいろあって、仲間とギャーギャー喧嘩して…バンド結成だ、がんばろーになる感じです。{/netabare}


3話 あれ?面白い…だと?ブレブレなヒロインの妙なリアリティが良い。

{netabare} CGも声優も正直3流ですが、面白いです。2話の出来も悪くなかったものの、ちょっと警戒してみていたので距離感がありました。3話でなんとなくヒロインのブレブレ感が非常にリアリティをもって迫ってきました。

 あれが大衆の等身大のヒロインではないか、と。音楽に関しては才能があるんでしょう。そして本当は好き。
 だけど大学に進まないと、あーしないと、こーしないと…で自分を縛らざるを得ない。劣等感を勝手に感じて壁を勝手に作る。いいですね。青春ドラマとしてきちんと成立しています。

 今期の気になるキーワードとして「上から目線」というマインドに注目しているのですが、それは上から見られれることではなく、自分が下にいるのを認めたくない、ということなのかなあ、と思います。承認欲求の世の中の生きづらさは世間ではなくマインドが作り出している気がします。

 つまり自分を客観視する辛さを他人の位置関係に責任を転嫁している。これは一人っ子でほめられ続けてきた。順位をつけない徒競走、王子様とお姫様が5人10人いるお芝居のような教育環境の結果でしょう。「ブルーアーカイブ」「鑑定スキル…」などでもこのセリフが出てきましたが、本作が一番キャラの性格造形と重なっていました。

 そうなってきたときに、このMMDにも劣るような作画でもキャラが活きてくるから不思議です。つたない声優さんの演技がかえって解釈の幅を広げるののか、ストーリーとキャラに集中できるのかわかりませんけど、キャラに感情移入するというよりは傍観者の視点で入り込めました。

 渋谷のスペイン坂や予備校、居酒屋、川崎のゴチャゴチャした街並み、暗い部屋、古い家などを見ると技術的な稚拙さとは裏腹に、結構描写のセンスがあるんですよね。どこにいるのかが一発でわかる背景描写は大したものだと思います。だからこそドラマが活きてきます。

 面白くなってきました。1話2話の集中力がいまいちだったので、ちょっと見返そうかなというくらい興味が出てきました。{/netabare}


5話 適当すぎな話に最悪の性格のヒロインなのに、なぜか見てしまう。

{netabare} 4話の女優うんぬんはいくらなんでも適当な話すぎるだろう、とは思います。というよりストーリー全体が適当ですけどね。

 しかし、何が面白いかを考えると、ヒロインですね。我儘で勝手で直情的で正直魅力は全然ないんですけど、ヒロインが妙に気に入ってます。身近にいたら勘弁してくださいとは思いますが、逆に自分に近い親近感なんでしょうか。よくわからないまま見ています。
 なんとなく、全体が荒唐無稽なのに妙なリアリティも感じます。青春って、整合性もないし適当だし自分に言い訳ばっかりだし好きなことに無駄な情熱はあるし、友情という名の依存になるしで、こんな感じなのかもしれません。

 音楽は…うーん…ガールズバンドとか全然興味ないのでそれほどでもないです。逆に不満もないとも言えますけど。 {/netabare}


6話 劣化「けいおん」にとどまらないリアリティがいい

{netabare}  ご都合主義すぎるだろうと思わなくもないですが、サクセスストーリーなら運も必要でしょうからね。
 やっぱりキャラたちの言い争いとギスギス感にリアリティを感じる…というと誤解を受けそうですけど、フィクションの世界でデフォルメされたリアリティ…カリカチュアライズと言ってもいいかもしれませんが、内容そのものは荒唐無稽な感じはあるのですが、エッセンスに本質が紛れているような描写がたまりません。

 これは過去作にはなかった感覚です。ストーリー展開はそうでもないんですけど、登場人物の言動が生々しいというのがいいのかもしれません。性格が悪い…というより性格の善悪のない自分勝手なキャラ達の友情というより仲間意識というか、好きじゃないけど合わせて一緒にやるしかないから一緒にいるような感覚かな?

 この作品は本当に不思議です。CGとか最悪と言いたいですが、このMMDみたいなCGだからこそ、記号化されて見やすいというか内面に集中できるというか…

 たとえば「けいおん」と比べてどっちが面白いか、いい作品かといわれれば、多分100対20くらいで「けいおん」なんでしょうけど、見ていて心が動くのは本作かもしれません。いま、どっちが作品の質が上かと言えば私は本作と言ってしまうかもしれません…錯覚の可能性もありますけど。{/netabare}


7話 なるほどロックです。面白い。こんなにはまると思いませんでした。

{netabare} あまり期待していなくて集中していなかった1・2話を見返した上で7話を見ました。なるほど…既存のルールの中行き場をなくした人の叫びが、ロックであるという気がします。

 高校中退とか家から逃げ出すということと、川崎しかも矢向(新川崎)という非常に中途半端な場所に住むということが符合してきますし、家の転居ですら上手くいかない。勉強もできない。そういうイライラとか生きづらさを叫ぶ。

 ヒロインのニナは今まで学校や家庭の中で言いたいことも言えずに、それが鬱屈してついに爆発した。それがロックだよ。中指を立てるとはつまり反抗です。
 このバンドであえて喧嘩ばかりなのは、鬱屈していたヒロインが言いたいことが言える場が見つかりつつある、ということなのかもしれません。その上で今週のももかの宣言ですが、これはストーリー上本当に脱退するとは思いませんが、しかし、一方でニナがももかに依存しているように見えるという問題点はありますので、この展開は悪くないと思います。

  いままでのガールズバンドものって「いい子」ばっかりだったのでその点でも新鮮です。

 不思議なことに「夜のクラゲ」の対比として、あるいはバンドブームの2匹目のどじょう狙いを酷評してやろうと重い見始めた本作にこんなにはまると思いませんでした。どんどん面白くなっています。{/netabare}


8話 情・友情・熱意ではなく怒りという展開がロックです。

{netabare}  そう…ニナの情にほだされてモモカが復活するなら最低だなあと思ってました。友情パワーとかニナの熱意とかね。そこでこう来ましたか。ロックの情熱はやっぱり怒りじゃなきゃって思います。

 話はメチャメチャですけどね。そのメチャメチャが熱いのがいいですね。この8話でラストのイメージができてきました。もう3波乱くらいありそうですけど、もっと怒って言いと思います。

 ラブソングはロックじゃないです。怒っていきましょう。{/netabare}


9話 いままでで一番ちゃんとした話。蛇の作画カロリーは笑う。

{netabare} いままでで一番「ちゃんとした話」でした。その癖、ギスギス感があいかわらず…とも思いましたが、ギスギス感がちょっとはマイルドになりました。ただ、女子だけアニメで他人の家にきて露骨に迷惑がるというのも最近はなかなか見ない光景ですので、そういうところはやっぱりいいですね。

 智の性格造形がエピソードに落とし込まれていて、しかも素人バンドとプロを目指すバンドの意識の違いまで表現されていました。
 この作品の見どころはここですよね。キャラの性格と出自、過去の出来事が今の彼女たちにどうつながっているのか?というのが描かれている故に、リアリティがある、ということなんだと思います。

 前の話も見返すとそれほどひどい話ではないのかもしれません…いや、ひどい話に見えてやっぱりキャラとリアリティ重視の脚本力があるんだと思います。やっぱり最後に「ヘタクソ」ですよね。この作品はここがいいです。

 蛇の作画のカロリー高すぎて笑います。ですが、わかりやすいアナロジーではありますが、蛇がなかなか小物として活きていました。
(クーラー壊れた=熱すぎるとダメ?は考えすぎか…ただ、蛇と組み合わせると面白い効果でした)


 だから、CGモデルなのに感情移入できてきます。1,2話のころは傍観者視点だったのにいつの間に…という感じです。
 EDの雰囲気で1話でいいから円盤の特典とかでアニメ化してくれないかなあ…と思わなくはないです。もし、そこまでやるなら円盤買っちゃうかも。{/netabare}


10話 いい話過ぎる気もしますが、家族問題は描くタイミングでした。

{netabare} いい話…すぎる気がしなくはないです。どこかで親との関係性についての総括は必要だったんだと思いますが、理解ではなく歩み寄りでよかったのでは?あるいは理解しつつ仲たがいの方が盛り上がったかなという気はします。

 学校だけでなく、教育虐待的な親の責任も大きいですし、何よりニナの性格も相当悪かったので、そこから抜け出る選択を主体的にできたこと良い回だったといえるでしょう。
 いじめ問題がテーマではないですが、高校大学という漠然とした道からドロップアウトして挑戦をするというのが、結果として流されてフワフワいるように見えていましたが、ここで意思を確認できたのは良かったと思います。

 スカウトの流れはモモカがメジャー出身ということもあって、それほどご都合主義には見えませんでした。本来なら音楽性のところをもう1クールとは言わないですが、数話つかって描いて欲しい気もします。

 ただまあ、2期を…という作品でもないし、引き延ばすと内容が本当に「いい話」になってしまいますので、あと2話か3話だと思いますが、しっかし最後までギスギスしてほしいなあ。

 そしてこの作品、人物はあんな感じなのに、牛丼屋のCGのリアリティ…どうしてこうなった?本当にこの作品、人物の配置と構図と演出はレベルが高いんですよね…不思議な感じです。{/netabare}



11話 お、やっとみんなでカッコ良くステージで演奏かあ…あれ?不穏??ただ、発展的解散もいいのかも。

{netabare}  11話自体は、いままでの積み上げのあとのステージですから、当然謎の感動があります。感情移入というより推し活をやっていたような雰囲気になるのがいいアニメだと思います。構成もストーリーも個々のエピソードよりもそういうところが1本筋が通っているのでしょう。

 次週予告が…不穏じゃね?あれ?まあ、モモカさんの雰囲気がずっとおかしいような…どうなるんでしょう?
 トゲナシトゲアリがこのアニメ限りだとしたら、ちょっとその意外性に驚きますが…

 ただ、このアニメの音楽って、やっぱりちょっと古い気はします。詳しい技術とか流行りなんかはわかりませんが、古典的な4ピースバンドでドラムとベースで…みたいなのは、どうなんでしょうね?
 アニメとセットで見ると熱い曲だし、ああ、ロックだなあと思うんですけど、このアニメを離れて聞くと今時ではない気がします。つまり、このバンドはこのアニメ限りな気もします。

 その意味ではそれぞれの道を行くような終わりかたもこの作品のキャラに合っているし、何よりニナの「モモカさん、モモカさん」が結構しつこく描かれていますよね。自立、自分のやりたいことをテーマにするなら、ここは発展的解散が美しい気がします。{/netabare}


12話 ここにきて凡作に堕するのか?トゲトゲのプロモで終わり?

 あれ、今までのギスギスとかロックとかどこにいっちゃったの?アイドルバンドとバトルって…そうじゃないでしょ?いったん断ったのはいいと思ったのに…
 モモカさんの葛藤もそこかよ…という感じもありました。最後の最後で凡作になるんでしょうか?まあ、初期に心配した通りトゲトゲのプロモで終わるならがっかりですね。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 24
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

観たら棘千本飲まされる狂犬ロックアニメ

【物語 4.5点】
多くのバンド作品が、心に溜まった鬱屈した諸々をライブで発散するシナリオを描くのに対して、
本作は最初から言いたいことをぶちまけ合っているのが特徴的。

歌う前から既に、主人公の“正論モンスター”井芹 仁菜が、
諦めた夢への憧憬と逡巡の間で葛藤するバンドマン・河原木 桃香に、
狂犬の如く噛みついてゴングが鳴る喧嘩バトルなどを軸に、気持ちを曝け出し尽くす。
(文字通りの水掛け論とか久しぶりに見ましたw{netabare} これを即出禁にしないで見守ってくれる居酒屋さんは優しいですね{/netabare} )
それでもまだ足りないと言わんばかりに、尚もライブで叫びたいことを叫ぶ。
これが奇数話のライブ回(フェスに向けて溜めた9話は除く)ごとに繰り返される。
花田 十輝氏による暴投スレスレの脚本がスリリングな、
とにかく爆発力があるロックなオリジナルアニメでした。

構成としては8話で桃香の葛藤に仁奈が決着を付けに行くドラマとしてのヤマがあって、
11話のフェス回にてライブとしてのヤマがあり、
私はこの辺りで視聴テンションがMAXに。

ただラスト2話は現実の冷水を浴びて主人公トゲトゲメンバーたちの在り方を見つめ直すような、案外静かな幕引き。
これもトゲトゲらしくて悪くはなかったのですが。

願わくば11話のピークを最終話に持って来るような構成にすれば、
名作まで突き抜けていたかもとは感じました。

これもセオリーとは違う物で魅せるという制作方針の現れであり、
予定調和に満足しないこのスピリッツこそが本作の勢いを生み出していた面はあるのでしょうが。

というより、スタッフたちは続編が作りたくて仕方がないのでしょうね。
今後の展開はまだ決まってないようですが、
2期や劇場版があったら私も注目していきたいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・東映アニメーション

昔『プリキュア』シリーズのED映像にて。
3DCGのフルアニメーションでプリキュアたちを、変態的なくらい滑らかに歌唱ダンスさせる“実験動画”の数々を眺めていて。
私はもしも東映アニメが本気で音楽アニメ制作を担当したら、是非観てみたいと思っていました。

なので東映アニメが参加する本企画は、立ち上げ当初から注目してアニメ放送実現の日を心待ちにしていました。

劇場版の『ドラゴンボール』『ONE PIECE』、再アニメ化となった『ダイの大冒険(2020)』など、
近年の東映アニメのCGを見ていて私が感じていたのは、
同スタジオはCG、作画双方の長所を、長い経験の中で理解して、使い分けるのが上手いなということ。

本作はCGでキャラデザの元イラストを精巧に動かす“イラストルック”の技法を採用し、
3DCGアニメーションの新境地を切り開いた、CG苦手な人でも一見の価値がある。
などと評価されたりしていますが、私はむしろCGと手描きの巧みな融合に惹かれました。

本作はライブシーンなどではフルアニメーションとスピーディーなカメラワークを実現し易いCGの利点を生かした演奏シーンで迫力を出し、
バンドメンバーたちの心情が吐露される過去の回想カットなどでは手描きの繊細さを生かしてエモーショナルな映像を構築する。
そんなCGと手描きのハイブリッドな魅力が遺憾なく発揮されたのが11話フェス回のライブシーンだったのだと思います。

もっとも私がライブシーンのCGで一番好きなのは5話の{netabare} “脱退”、“嘘つき”、“不登校”の{/netabare} 痛いTシャツ(※COSPAで絶賛予約受付中w)で全てを曝け出すパフォーマンスなんですけどね。

あとは智の爬虫類ペット群のツルツル感もCGならではで好きです。
({netabare} 蛇を怖がる乙女な桃香さん。何か萌えましたw{/netabare} )

狂犬・仁菜がささくれ立つ度に発生する赤黒い棘のオーラも硬質なCGの特徴を生かした刺々しい心情表現でした。

でも私が何より大好きなCGは3話。{netabare} 朝っぱらから、リズムを刻む鳩さんの首振り運動?に合わせて、
仁菜がバンドにのめり込み、学業が疎かになるカット。{/netabare}
ああいったシュールな演出もCGの得意分野なのだと思いますw

いずれにせよ、本作はアニメーションもまた、CG、作画共に個性を殺さず、棘を出しまくっており、
消化に優しい刺抜きされた映像に慣れた方は、濃厚な画面に、ちょっと面喰らうかもしれません。
ですが、私は挑戦的な姿勢を高く評価したいです。


【キャラ 4.5点】
脚本・花田 十輝氏はその昔アニメ『ラブライブ!』にて、
9人いるなら1人くらい不登校の子を入れて欲しいと提案して却下された
という逸話もある書き手。
キャラが社会のレールから外れる程、筆が走る側面があるようで。

その点、本作は、
ボーカル・仁菜……熊本の高校でのイジメ不登校から上京して予備校から大学を目指す外れ者({netabare} 後に予備校も退学{/netabare} )

ギター・桃香……{netabare} バンド仲間たちと高校中退してダイヤモンドダストを結成するも、売れるためのアイドルバンド路線が受け入れられず脱退。{/netabare}

ドラム・すばる……唯一、学生服姿で陽キャを振りまき、仁菜に大いに嫉妬の棘を出させるが、{netabare} 通っているのは高校ではなく俳優要請アクターズスクール。学生服は役者の道を求める祖母への反抗も醸したカモフラージュ。{/netabare}

キーボード・智……良いとこのお嬢様だが、今は中卒フリーターとしてルパさんとルームシェア。未成年なため保証人もルパ頼みという子供が一人で生きる難しさをここでも痛感。

ベース・ルパ……南アジア系の父と日本人の母のハーフ。その親族を幼少時、事故で亡くしている。因みに南アジア系は実際に川崎市臨海部の人口の1割を占める。
川崎のリアルの一端を体現したキャラでもある。

など見事にレールから脱線したロックンローラーが揃い、
花田氏のフリーダムな爆走(暴走)を遮るキャラ設定などありませんw


ライバルとなるアイドルバンド・ダイヤモンドダスト。
こんなダイダス間違っている。
桃香さんは間違っていないという怒りが仁菜の棘の主要原材料であり、
仁菜&桃香のカップリングを引き立てるスパイス。

が、ダイダスもアイドル路線にプライドを持って挑んでおり、
憎めない、むしろ今のダイダスも好きになるまである好敵手。

ダイダス新ボーカルのヒナだけは、仁菜との因縁で最後までバチバチするかと思いきや、
仁菜&ヒナは仁菜&桃香とはまた別種の尊さを持ったカップリングのポテンシャルを秘める。


その他、仁菜にキツイ家訓と世間体を強いた教育パパを始め、
若者を圧迫するヒールと思われたキャラたちが、後に良キャラ化する展開も好感できました。


【声優 3.5点】
ボーカル・仁菜役……理名
ギター・桃香役……夕莉
ドラム・すばる役……美怜
キーボード・智役……凪都
ベース・ルパ……朱李
(以上敬称略)

まずはプロとして演奏と歌唱ができる実力を有すること。
その上で声優としてもプロとなれる素質と意欲があること。
求人票とかに乗せたらネタかwと嗤われそうな位のハイスペック要求。
当然、選出は難航を極め、オーディションに1年半も費やす。

結果、選りすぐったメンバーですが、やはり先行するのは演奏&歌唱力。
演技の方は素人同然で、当初は特に、
すばるのような、アンニュイも匙加減を間違えれば棒読みになるキャラボイス辺りで、未熟さを露呈。

が、EDクレジットでひときわ目をひいたのが、演技指導役として表記された小島 幸子さん(仁菜の母役としても出演)。
このクレジットを序盤から見て、私は、このアニメは声優初心者を放置せず育て上げる覚悟を持った作品。
メインキャストの演技は必ず良くなると信じていました。

実際、小島さんはトゲトゲメンバーを手取り足取り熱心に指導されていたそうで。
加えて、トゲトゲメンバーたちもミネ役の沢城 みゆきさん等、先輩プロ声優の好演を見学して技術の吸収に励んだとのこと。

人間ドラマがピークを迎えた第8話。
あの名エピソードは、感情を爆発させる仁菜役・理名さんら、キャストの成長と熱演無しには成立し得なかったと思います。

しばしば自己紹介でトゲトゲで“修行中”だと語る彼女たち。
今後の特訓の成果を期待しています。


【音楽 4.5点】
プロデューサー・平山 理志氏、ディレクター・酒井 和夫氏、脚本の花田氏と、
かつてアニメ『ラブライブ!』シリーズで2.5次元旋風を巻き起こした布陣。
本物のバンドがキャストも務める本気のロックアニメで魅せるため、
音楽制作を依頼したのがJPOP界でヒット曲を量産するagehaspringsの主宰・玉井 健二氏。

10~20代の心に刺さる音楽を表現するため、
今の若者が原体験として共有しているボカロ、Vtuber界隈のスピード感を取り入れたロックンロールは、高BPMの高難度曲ばかり。
これをキャストが生でも披露できちゃうのが『ガルクラ』のコンテンツ価値。

OP主題歌の「雑踏、僕らの街」のハイテンポなキーボードに酔いしれていると、
私は弾いてもいないのに指がもつれそうになりますw
と言うより川崎市民の皆さん。
OPで“嘘みたいな 馬鹿みたいなどうしようもない僕らの街”とかディスられちゃってますよ(苦笑)

因みに一応、川崎をフォローすると、
川崎が舞台になったのは、上京する若者のリアルを追求したロケハンにて、都内だと家賃が高過ぎて現実的じゃない。
そこでスタッフの目に留まったのが家賃も手頃な“音楽のまち・かわさき”
決して安直な聖地巡礼ビジネスの一環ではない。
令和時代のバンド物語のリアリティを表現し得る価値を見出されての川崎指名だったという制作エピソードは強調しておきます。

ED主題歌の「誰にもなれない私だから」
最終話、特殊EDで飛ばされることなく、通常通りに締めたのもトレンドとは異なる意表を突いた構成。
あのEDアニメは{netabare} トゲトゲのインディーズ全国行脚編だったということなのでしょうか。{/netabare}
ここでもスタッフたちは、続編作りたくて棘出しまくってますw


【参考文献】「メガミマガジン」2024年8月号






【第8話感想】脚本・花田十輝氏の必殺技が炸裂
{netabare}
ここまで散々、仲良く喧嘩しまくって来た仁菜と桃香。
こんだけやって、ま~だ言い足りないのかwって感じで二人の衝突が天王山を迎える第8話は、
これまで断片的に語られて来た二人の過去の回想も深堀りされ、
二人がぶつかり合いながらも惹かれ合うことが如何に宿命であったか?
仁菜にとって、桃香にとってロックとは何であったかが熱く語り尽くされる特濃エピソードに。

みんなが私たちを“普通じゃない”と白眼視しても、
私もあなたも間違っていないし、
私とあなたならそれを理解し合える。
――これは、“愛の告白”

これまで、脚本・花田 十輝氏が女子の友情を極める表現として、
幾度となく私をノックアウトしてきた必殺コンボ。
本作でもどこかで、間違いなくこの8話で仕掛けて来ると分かっていましたし、
私もガードを固めて挑んで挑みましたが、
分かっていても威力は抜群で、ラストは胸を打たれました。

このコンボが決まるとなると、今後、本作も名作に化ける可能性が高まって来ましたが、
登場人物がやっていることは相変わらず客観的に見て毎回ロックで無茶苦茶ですしw
ダイダスのボーカルが{netabare} 仁菜因縁の同級生?{/netabare} とか誠に都合が良すぎますし。
依然、脚本暴投のリスクもはらんでいます。

いずれにせよ残り数話、最高にロックでスリリングな展開が期待できることは間違いありません。


棘出しまくっているトゲトゲのメンバーの中の良心で{netabare} 運転{/netabare} もできるw頼れる姉さんとしてルパさん株も私の中で上昇中。
そんなルパさんが{netabare} バイト先の吉野家で外国系だからと見下されるカスハラに笑顔で耐えた後に
「私にもロックは必要ということです」{/netabare}
とこぼす描写も印象的でした。

俺にもロックが、『ガルクラ』が必要だということです。
私も終盤、いっそう鑑賞ギアを上げて挑みます。{/netabare}



【2話までの感想】東京よりも近い川崎で中指を立てるw

長くなるので折りたたみ。
{netabare}

束縛の強い家庭環境、学校でのイジメ……。
抱えきれない葛藤を抱えて高校中退し九州から“上京”を志した少女が、
{netabare} 不動産屋に言いくるめられて{/netabare} 川崎に流れ着き、
色々こじらせている内に、もう全部吐き出しちまえと、バンド活動へと誘われていく。
同名2.5次元企画の東映アニメーションによるオリジナルCGアニメ。

アニメというより実写邦画ドラマの手触りという第一印象を受けます。
熟練の俳優よりも、新人やら子役やらを集めて、
ストレートに青臭い諸々をぶちまけて共感を得ていく。
そういった実写映画企画等の如き表現を、CGで再現していくようなタイプの作品なのだと感じました。
こういうジメジメした痛いノリが嫌いでない方なら楽しめると思います。

脚本は今年、絶好調の花田 十輝氏。
『僕ヤバ』2期、『戦国妖狐』、そして今期『ユーフォ』3期と原作物のシリーズ構成・脚本でも筆が走ってる感アリアリな花田氏。
このオリジナル作品では、萌えに配慮することもなく、
2.5次元キャラの汚い部分も洗いざらい書ける無礼講に興が乗ったのか、
フリーダムな青春劇が展開され楽しいですね。
この意味不明に面倒臭いけど笑える感じ、黒めの『よりもい』を想起させられます。

2話では、初めての都会でのひとり暮らしで、さらに自己嫌悪のモヤモヤを募らせた主人公・仁菜(にな)が、
{netabare} 部屋に取り付けるためにと、友達の友達から、せっかく頂いたライトを夜中に咆哮しながら振り回して破壊して{/netabare} 面倒クセェと笑われる衝(笑)撃展開w
川崎市民の皆様、この度、最高にヤベェ女が“上京”して参りましたw
今期、川崎はロックな嵐に飲み込まれますw

この春は光の『ユーフォニアム』と闇の『ガールズバンドクライ』。
花田 十輝氏脚本の食べ比べなど如何でしょうか?


【余談】関東民の方々にデリケートな質問なのですが、
例えば仁菜みたいに地方から川崎市に移住することは上京と言うのでしょうか?
上京経験のない私には判断が付かないので“”を外すことができません。{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 25
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

小指を立てろ!!

[2024.6.29見終わって・・]
事務所と契約できてプロになれて、あとは武道館目指して・・って、2期を熱望する声もネットでちらほらあるけど、私はガルクラは2期やるべきじゃない、ここで終わるのがガルクラらしくていいってずっと思ってました。
でも13話(最終話とは言わない!)見て、インディーズに戻って清々しい顔をしてる彼女たちが、EDの黄色いバンでツアーを行う姿をとても見たくなってしまいました!!
トゲトゲメンバーの声優も最初は危なっかしいとこもありましたけど、どんどん上手になってほんとキャラに合った演技をしてくれたと思います。仁菜も桃香もすばるも智もルパさんもあの声がぴったりと思うくらいに。
3D表現も表情がコロコロ変わったりするのが良かったし、ライブシーンの臨場感は3Dだからこそ出せたんだと思います。
花田十輝さんのオリジナル脚本作品として、よりもいのざまぁみろみたいに、仁菜たちが小指を立てながらまっすぐ前を向いてロックしてる姿が心に刺さりました。同じく花田さん脚本のユーフォ3期の12話も自分の意志を曲げずに貫く姿がとても良かった・・この方の脚本は熱いものがあってとても好きです。
アニメ1期が終わってもトゲナシトゲアリの活動は続きます。YouTubeで「【Official Music Video】トゲナシトゲアリ」で検索するとMV見れますので、興味のある方はどうぞ覗いてみてください。

13話・・この終わり方は続編につながる展開だと思いたい!!
{netabare}OPで空の箱聞いてる仁菜のシーンにヒナが加わってる!
「全部さらけ出して生きてやるんでしょ?」
ヒナなりにニナを気にかけてて励ましてくれたんだよね。
コタツの上でギターかき鳴らしながら思いを吐き出して、なんてちっぽけなんだろうってつぶやく仁菜がやっぱり好きだな私。
「でもね・・だから私はあんたに惹かれたんだと思う・・あんたの歌声が好き」って言ってくれた智のシーンに共感してうるっときちゃいました。
あれ?桃香が着てる衣装って確かダイダスの時に断ってたやつじゃ・・桃香の中で何かが吹っ切れたのかな。
最後は思ってたよりあっさりとした終わり方でしたけど、逆に続編につなげるためだと思いたいです。{/netabare}

12話・・そう来るんだ。。次回のライブは爆ぜてくれそう。
{netabare}結構すんなりと契約できてプロになったんだ・・
もうひと波乱あるのかなって思ってたので、ちょっと肩透かしwもちろん良かったですけど。
最後の牛丼みんなで食べるとこいいな。
過去のことがあって、このまま走り出すことが怖いと思ってる桃香に自分を歌を信じてくださいって伝える仁菜。
みんなが気に入ってイケるって思った曲のまさかの結果・・・・・
ここからじわじわと人気でる場合もあるから気にしなくていいって言いたいけど、でもあれだけの思いがあってダイダスとの対バンも控えてのこれはヘコむのもしょうがないかな。
対バンまで残り1か月。
ここからもう一度立ち上がって小指を立てながらロックする仁菜たちが見たい。
次回は最終話。ライブで爆ぜてくれる姿を楽しみにしたいです。{/netabare}

11話・・5人がひとつになって挑むフェス!!ライブ凄くて鳥肌が。。
{netabare}冒頭の練習シーン。5人の雰囲気が良くなってるのが感じられていいな。
ダイダスのライブ!ライバルバンドの演奏をきちんと見せてくれるんだ・・
8話のあのシーンを見てるから、ダイダスメンバーが小指立てたシーンにじんわりした。
ライブ前のサウンドチェックのシーンも良かった。ルパさんが弾いた曲ってもしかして・・
ここでもうエンドクレジット!?これライブシーンを最後までやるってこと?
もう期待しかない。
仁菜がつぶやいて、桃香と智がとんがり反応して、それをすばるがうまく紹介にもっていって、ルパさんが締める。
すばるが本名で名乗ったところも。
5人がひとつになってる。
ライブシーンめちゃめちゃ良くないですかこれ。鳥肌立ちました。。
ちらっと小鳥が二羽から三羽そして五羽になって羽ばたいていく演出もニクい。
メンバーそれぞれの家族が見守ってるところも。
仁菜父が不登校シャツ飾ってるの見てほんわかして可笑しくなった。{/netabare}

10話・・ちゃんと家族を描いてるとこも良きです。
{netabare}このお話で両親やお姉さんの仁菜への気持ちがきちんと描かれてたのはすごく良かった。
柱に書いた跡、お姉さんの優しさ、不器用なお父さんの思い。
たぶん仁菜って昔はお父さんっ子だったんだろなぁ。。
学校からの謝罪文だとかそういうのはどうでも良くて
空の箱を聞いていい曲だと言ってくれたことがすごく嬉しくて素直になれたんだよね。
これで川崎に帰って終わりかなぁと思ってたら・・
お父さんからの「いってらっしゃい」
ここでうるっときちゃいました。。
仁菜もものすごく嬉しかったと思う。
1話で東京に来た時はすごく不安な表情をしてたけど、今回は笑顔でただいまって言えて。
メンバーが待っててくれたのもベタだけどなんかいいな。
次回のフェスでのライブ、とても楽しみです(^^♪{/netabare}

[2024.6.2]
なんで私、この作品にはまっちゃったのかなってちょっと考えてみました。
ガルクラは彼女たちがぶつかり合いながら気持ちを通じ合っていく過程がリアルっぽく感じて、そして共感できるところもあったからなのかも。
私の中には仁菜の部分も桃香の部分もすばるの部分も少しずつあって、彼女たちが葛藤したり悩んだりぶつかったりしてる姿に自分を重ねてしまい感情移入できたからなんだと思います。

もちろん、ライブシーンの素晴らしさもあります🎵

それから声優さんについて
元々はトゲナシトゲアリというバンドが結成されて、そのメンバーが声をあてているので、本職の声優さんじゃないし、多少上手じゃないのも仕方ないのかなって思ってたんですけど、思ってたよりもちゃんと演技できてる気がします。特に仁菜役の人は初なのになかなか上手なのではと思ったり。すばる役の人はがんばって・・って思う部分は最初ありましたけど、すばるというキャラにはぴったりな感じが今はしてます。

9話も良かった!
{netabare}もう一人のとんがりメンバーのトモちゃん回でした。
過去のことで本気でぶつかることに臆病になっていた彼女が何を言われてもめげずに一生懸命練習してる仁菜にちゃんと向き合ってヘタクソーー!!って叫んだシーンが良かった。その後ぼそっとヘタクソ・・ってつぶやいたのは自分に対してだったのかな・・{/netabare}

[2024.5.26初回感想]
バカみたいにまっすぐで
曲がることを知らなくて
だから器用に生きれなくて
ぶつかってはころんでばかり

そんな私のココロに響くあの曲
いつも元気を、勇気をもらってた

小指を立てろ!
私が私らしく生きるために
間違ってないと証明するために

小指を立てろ!!
嘘をつきたくなくて負けたくなくて
思いを気持ちをぶつけるために

だからトゲ出しながら今日も歌う
それが私のRock 'n' Roll


8話を見て泣いちゃって、思わず1話からリピ視聴して、感想書きたくなって
気づいたらヘタクソポエム書きなぐってましたw
なんていうか、そんな気持ちになっちゃう熱い作品、それがガールズバンドクライ。


ガールズバンドものってあまり見なくて、これ見る予定なかったんだけど
友達におすすめされて見て、どんどんはまっちゃいました。(いつもありがとう🌞)

シリーズ構成は花田十輝さん。
名作「宇宙よりも遠い場所」以来のオリジナル脚本みたいです。

最初3DCGに違和感あったんだけど、ライブシーン見て納得!!
すごく臨場感あって、歌も演奏も良くて、ライブシーンは毎回リピ再生して見てました。
8話冒頭の回想シーンが3Dじゃないとことか、メリハリのある演出も◎です♬

全13話で残りあと5話。
これからどんな展開が結末が待ってるか、狂犬ニナの暴れっぷりやライブシーンも含めてとても楽しみです🎵

投稿 : 2024/09/07
♥ : 34

79.1 2 2024年度の大学アニメランキング2位
ルックバック(アニメ映画)

2024年6月28日
★★★★★ 4.3 (41)
187人が棚に入れました
漫画へのひたむきな思いによって出会った2人の少女の姿と運命を描いた、藤本タツキの同名読み切り漫画を劇場アニメ化。
小学4年生の藤野は、学年新聞で4コマ漫画を連載している。そんなある日、学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生、京本の4コマ漫画の画力の高さに衝撃を受ける。ひたすら漫画を描き続けるも、京本との画力差に打ちひしがれた藤野は漫画を描くことを諦めてしまう。しかし小学校卒業の日、京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

しっかりと狂っている鋭利な漫画創作物

多才で学級新聞の4コマ連載も器用にこなす小学4年生・藤野。
引きこもりでありながら背景画4コマで藤野を凌ぐ絵を出してくる京本。
少女2人の運命が交錯していく半生を描いた藤本 タツキ氏の同名読み切り長編コミック(未読)の劇場アニメ化作品(58分)

【物語 4.5点】
成果=才能✕投入時間

以前どこぞのビジネス系動画で耳に挟んだ公式が思い浮かんでずっと離れない。
余韻を引きずる創作青春物語でした。

舞台モデルとなったのは原作者出身地の秋田県にかほ市。
雪国の田舎町でクラスで1、2番くらい絵が上手かったくらいで、画家になれるわと褒められ舞い上がった少女が、
京本の圧倒的な才能に直面して狂わされる。

天才に追い付こうと藤野は青春全てを漫画に捧げようとする。
友人とお付き合いする時間、武芸に励む時間など、
社交性が高い陽キャ人間属性を全てかなぐり捨ててまで絵に没頭する。
が、引きこもりの京本は、それ以上の時間を投入して、さらに先を行ってしまう。
元々自分より画力がある人間が、学校に行くのをやめたというハンデを生かして、自分以上に絵を描く努力をするのだから当然だ。

漫画家を目指すのもまた、全うな人生のレールから外れる狂気。
持てる才能を、どれだけ人間やめて育めるかの勝負。

幼い頃は絵が上手いともてはやされるけど、成長して、やがて社会に出る現実が迫って来ると、
絵なんていい加減卒業しなきゃと白眼視される。
挙げ句、友人には「オタクだと思われてキモがられちゃうよ」と言われる藤野。
因みにこのセリフ、原作者が実際に言われた言葉とのことで。


こうした作家志望の狂った部分が序盤から容赦なく描かれている。
だから終盤、才能への嫉妬ゆえの(※核心的ネタバレ){netabare} 絵をパクられたと京アニ放火事件さながらに襲撃事件を起こす男の狂気も、{/netabare}
本作の文脈から、作家志望なら嫉妬の処理を一歩間違えばこうなるのかな?くらいには納得でき恐怖しました。

本年は、短尺ながら鑑賞消耗度が高いODS(非映画デジタルコンテンツ)のアニメ作品興行が多い印象ですが、
本作は、その中でも特に心を削って来る内容。

海外サイトではドラマだけではなく、ホラー、サイコスリラーにも分類されている『ルックバック』
これをG(全年齢対象)に区分した映倫。
やっぱり冒頭10分くらいしか審査してないのでは?という私の疑念がますます深まりますw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・スタジオドリアン

絵描きたちへの賛歌を志向し、手描き感を残した映像を追求。
押山監督は脚本、キャラデザ、作画監督と兼務を重ね、
監督自身も最後の1週間に原画1000枚を量産するなど、
まぁまぁ人間やめてる少人数制作の狂気で応える。

原画のラフな線を動画に残すため“原動画”なるポジションも設定。
妙に生々しい本作のアニメーションの質感を支える。


創作シーンについても、普通は絵を紙に描き込んでいる様子などが思い浮かびますが、こうした描写は本作では割と少なめ。
むしろ、貧乏ゆすりする藤野の後ろ姿。
その後ろ姿のバックの四季が次々に切り替わる光景。
デッサン鍛錬で積み上がるスケッチブックの山。
など創作の狂気に囚われた人間が、膨大な時間を投入する有り様を強調する表現が際立ちます。

寝食も忘れて創作に没頭する人間って、やっぱりトイレで座ったまま寝ちゃうんだなw
何かにここまで人生を捧げた経験がない私には、
こうした創作アルアル?表現が興味深く、刺激的でした。


{netabare} 藤野が京本に自分の漫画を褒められて舞い上がるシーンの雨天。{/netabare}
{netabare} 中学時代、藤野と京本が応募漫画作品が初めて入選した雪深いコンビニの一夜。{/netabare}
漫画の道が開けていく場面の荒天。
ここも才能と努力で、陽の当たる“普通の”人生から外れていく方向性も想起させられ心に残りました。


【キャラ 4.0点】
主人公・藤野。
“みんな”にキモい、案外、絵が普通だったと手のひら返された自分の4コマ漫画を、
誰よりも、ちゃんと見てくれていた引きこもり超絶背景マンの京本。
{netabare} 自分よりも才能がある奴と思って嫉妬していた人間から自分を認められる。
こんな劇薬ぶっこまれたら、退路を絶って人間やめて漫画家の道を猛進するしかありません。{/netabare}

京本にとっても藤野は憧れの“先生”であり、外の世界の光をもたらしてくれる救世主。
ある種の共依存にも結ばれた名コンビ。
その関係性の変化も本作を痛切にしているスパイスです。


【声優 4.0点】
作画に手描きの生っぽさを求めるならば、演技にも記号化されない天然素材の生っぽさを求める。
こうした方針の元、キャスト陣には、
主演の藤野役に河合 優実さん、京本役に吉田 美月喜(みづき)さんと、
俳優陣をオーディション選出。
一方で記号化されたキャラ作りを求めたい作中4コマシーンには、
森川 智之さん、坂本 真綾さんと声優陣を起用。

筋は通っていますし、実際メインお二方の演技は上々でした。
あと、メインお二人は顔立ちも、どことなく藤野&京本に似ている気がしますしw

河合さんは接する人間によって仮面(ペルソナ)を起用に使い分ける、
藤野の社交性を好表現できていましたし。

吉田さんも引きこもり成分が天然配合された京本のボイスがハマっていました。

音響も良質な天然素材を確保したと慢心せず、
例えば京本の秋田弁訛(なま)りが、藤野に連れられ外の世界を知る内に徐々に訛りが取れて明るくなっていく。
その変遷を表現してもらうため“訛り変化一覧表”を用意するなど、
細部に渡るディレクションで素材を引き出す好采配。


が、昨今のアニメと実写の中間領域で求められがちな“ナチュラルな演技”とやらも、
今のアニメ声優ならば十分できると思っている私の強固な価値観を揺るがすまでは行かず。
ここもベターであってもベストではない。4.0点が上限ということで。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は青森出身の音楽家・haruka nakamura氏。

雪国から、ギターの才能の自己実現を求めて上京したという同氏。
同氏のアーティストとしての原点は、秋田などがモデルの本作の世界観と親和性があります。
純度の高いピアノ、ストリングスに時に聖歌隊の歌声もアレンジした歪なくらい美しい楽曲群は、
ここも、さながら才能に殉じて人生を捧げる絵描きたちへの賛美歌の様相。

そして、こうした創作への“殉教精神”は同氏が作編曲したEDの女性ボーカルバラード「Light song」で極致に達します。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 10

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

名付けて逆「スラムダンク現象」。予告の時点が一番キタ。

 今年は「ハイキュー!!」に「マッドマックス」に本作と並の傑作どころやない、大傑作かも…な期待作が揃っていたのですが…。


 「スラムダンク」を熱愛して山王戦なんか穴が開くほどに読み込んできた私としては、もう一昨年?の新作映画は正直物足りない出来でした。リョーちんの蛇足なエピソードが足されてより短くなった尺に、最高の物語のあらすじ、上っ面をなぞっただけのような薄まった原液を注入した、テンポアップし過ぎな作品。CGによるリアルスポーツのような感覚に挑戦したかったのかもだが…という評価でした。


 何故「スラムダンク」を引き合いに出したかというと、本作は逆なようで同じ事態に陥ってしまったように思えました。あちらはテンポアップし過ぎて薄まった、こちらは膨らませようとしてテンポダウンしてやはり薄まった。どちらも内的要因だけでなく外的要因もあってか。原作を読んでいた時のテンポ感、ドライブ感を踏み外してしまったように思えてなりません。


 「スラムダンク」或いは「ハイキュー!!」の場合は、長い物語を短い一本の映画にしなくちゃならなかった。こちらは短い物語でなんとか映画一本にしなければならなかった(私としてはビックリ二本立てを仕掛けてくるくらいいしても良かったような気もしますが)。


 といってもやはり元々の物語が映像にしてもせいぜい30分、長くても45分くらいのものだから一本の映画としての満足感は薄い…。「デジモン ぼくらのウォーゲーム」や「プリキュア オールスターズメモリーズ」のような短い尺を有効に使い切っ大傑作たちも存在するわけで、尺やサイズに合わせた物語作りは思っていた以上に大切なことなんじゃないでしょうか?。


 私としては、「原作通りにしろ厨」はナンセンスだと思います。映像化する以上は変更はやむを得ない、むしろ+に転じさせることだってできるように思います。しかし、漫画を映像化する場合は、細部ではなくその物語の本質である構成やテンポ感に手を加えるのは危険なように思えます。やはり物語のサイズ感にピッタリな形態を選ぶべきでしょう。商売上の色々はあるのかもですが、商売人でもない私はそこまで忖度してあげる必要は感じません。


 こんなこと言うのはアレかもですが、どちらもこれなら家に帰って原作漫画を読み返した方が良かった…。あとで時間をおいて予告を見直したら変わらずグッときた。やはりもっと短くして、二本立てにするべきだった!。

 

投稿 : 2024/09/07
♥ : 6

メタルジャスティス さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

かけがえのない一本

 世の中の人の中では比較的アニメを観ている私ですが、そんな熱心に情報を集めている訳でもなく、漫画を読むでもない。故に本作については一切認識しておりませんでした。
 そんな折、2週間ほど前にXにて「マキマさんルックバックみたってよ」というポストにて、本作を知りました。なんでマキマさんとコベニちゃん?って、ああ作者が藤本タツキさんなのか。泣き虫とはいえ、コベニがこんだけ泣く映画とは?と興味を持つも、当方の住まう限界地域の映画館では上映予定にすら無い。作品的にもこっちでは上映ないかなーと諦めていましたが、いつの間にやらに上映されているではありませんか。これ幸いと、さっそく観てきた次第。

 端的に言って、久々にぶち当たった「安直に、人に勧めたくない作品」です。
軽薄なユーチューバーのごとく「面白いから絶対見ろ!」とか「おすすめ!」とか言いたくない。口に出すと、何かを穢すような気になるから。とか言いながらこれを書いているのは矛盾ではあります。
 まあ、ここに来るような人は既にこの作品を観て、何かを感じ取り、言いようの無い衝動にに駆られている人でしょうから構わんでしょう。
 とは言え、今はまだああだこうだ言いたく無い。
 しばらくして、自分の中が落ち着いたら、どこが良かった、凄かったと書くかもしれません。
 なんだろう。「素晴らしい作品をありがとうございました」とも書きたく無い。
 うぁぁぁぁ……。
 そんな感じ。
 

投稿 : 2024/09/07
♥ : 2

69.7 3 2024年度の大学アニメランキング3位
夜のクラゲは泳げない(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (195)
534人が棚に入れました
“私”も誰かみたいに輝きたい。 明日話すべき話題も、今週買うべき洋服も、 全部スマホ(ルビ:トレンド)が教えてくれる。 何者かになってみたい——そんな願いを持つ間もないほどこの世界は忙しい。 活動休止中のイラストレーター“海月ヨル” 歌で見返したい元・アイドル“橘ののか” 自称・最強Vtuber“竜ヶ崎ノクス” 推しを支えたい謎の作曲家“木村ちゃん” 世界から少しだけはみ出した少女たちは匿名アーティスト“JELEE”を結成する。 自分じゃない“私たち”なら——輝けるかもしれない。
ネタバレ

てぶくろ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

テーマや狙いに対するアプローチは良い、でも起きている事象とキャラに対する踏み込みがもう一歩だけ足りない。

 全体を通して
 {netabare} 本作品に対する印象は、第3話まで視聴した時点で抱いたものとそう変わりません。

 その時に書いたものに付け加えるならば、この作品は「やりたい演出を最優先に考えたエゴイスティックな作品」であったと思います。
 私は、オリジナル作品においてこの心理を重要視することはなんら悪い事ではないと思っています。

 前クールの、周年記念で趣味を詰めたオリジナルアニメを作ったものの、結果が振るわなかった某SF作品なんかより、自己満足が出来ている分何倍もマシだと思います。


 ただ、そんなエゴを通した演出が作中で十全な効力を発揮する展開になっていたか、作中を生きるキャラクターたちの心情に最後まで真摯に向き合っていたか というとそんなことはありませんでした。
 
 心打つ演出や溢れる表現力を持っていたからこそ、それらが勿体無く感じてなりません。
 

 第1話がハロウィンからスタートし素敵な演出を見せてくれたものの、その後仲間集めが終わったら一気に時間をすっ飛ばして1周年ライブとしてみたり、とかも今思うとそうですね。


 展開の持っていき方、キャラクターの心情については各話の時に散々書いたので割愛するとして、それ以外の点に言及すると、作中キャラクターの創作活動に対して向き合う姿勢がカットされているのが残念でした。

 木村ちゃんやキウイちゃんは基本全カットで、花音やまひるは不十分…というより片やゴチャつき 片や変な方向へ となってしまいました。

 花音に関しては、第7話にて重要な問題がいつの間にか生じていていつの間にか勝手に解決したりしていました。
 その後過去が明かされたりするものの、「母親」「アイドル」「見ろ馬鹿」という要素が繋がっておらず、雰囲気で理解するしかありませんでした。
 
 歌うことの方についてはまだ最終回にかけて拾えた判定をしたとしても、作詞に関する方はもう…なんか…悩んだりしそうな雰囲気を出しておいて、目を離した隙に完成していたりしていましたね。

 まひるは安っぽい技術の部分と自分の絵に納得できているかどうかという部分ばかりで楽曲に絵をつけることに対しての思いは一切ありませんでした。


 クリエイターとしての彼女たちの側面を疎かにしてしまった本作品なので、第9話以降でそこを問われた時 碌な回答を出せずキウイちゃんでお茶を濁してしまいました。
 勉強していなかったところがテストで出てしまった感覚ですね。


 こんなにも花音が歌詞作りの中身に言及しないこと、まひるの楽曲を絵で表現することに対しての思いがないことを考えると、
 
 シナリオ作りと楽曲制作の連携が上手くとれなかった。

 のではないかと個人的に推測しています。

 直接的な言及は避け、当たり障りのないようにしたんじゃないでしょうか。


 最後に

 極端なことを言ってしまうと、この作品はやりたい演出がやれればそれで良かったので、彼女たちが彼女たちである必要性はありません。

 別に彼女たちの心の変遷を描きたかったわけではないので、創作活動を通して精神的に成長しなくてもいいんです。

 今、この瞬間に感動的であればいいので、どこかで借りてきたようなメッセージ性で十分なんです。

 
 刹那的な感動を貪るための作品、それが「夜のクラゲは泳げない」です。
 
        {/netabare}

 第3話まで視聴しました。
 {netabare} 映像は文句無しにキレイでよく動いていて、キャラクターの可愛らしさを後押しし、共感性の高いテーマと音楽の要素で、全体がポップでキャッチーで取っ付きやすくなっていると思います。

 ですが…何故かこの作品を 面白い! 彼女たちのこれからに目が離せない! 彼女たちのやりとりをもっと見ていたい! とは断言できない妙なモヤモヤが残ります。

 非常に俗っぽい言い方にはなりますが、この作品はバズりたくて仕方が無く 世間が好きそうなものを集め 広いターゲット層に全力で媚びてみている そんな印象です。
 もちろん、オリジナルアニメなので世間ウケを意識することはとても重要なことだと思うのですが、その気持ちだけが先行しなんとなくの人物描写で進行してしまっているように感じます。

 
 個人的に一番引っかかっているのは、まひるです。

 第1話にて、主人公が行動を起こす際にセルフツッコミを多用するのは話作りにおいて弱腰であるように思います。 行動の一つ一つに保険を張っていると言いますか…。

 意図的にまひるはすぐに自分を客観視し冷めた言葉を自分にかけてしまう性格である と示しているなら別に構いません。
 ですが、その割にまひるってモーションがブリブリしてますよね?
 売り物の靴下に話しかけていたり、鼻をつままれ手をバタバタしていたり などです。

 なんというか、提示されているキャラ設定と画面内のキャラの動きに齟齬があるように感じます。

 他にも例をあげるなら
 まわりからどう見られるかに過敏な子が、電話しながら買い物したりしますかね? 
 対人関係があまり上手では無さそうなフリを作っておいて、初対面の花音相手にいきなりくだけた感じのジョークをかましているのはどういうつもりなん? とかもあります。

 
 それと、まひるの人格形成エピソードについて。

 壁画を自慢しようとしたら、友人から「変な絵」と言われてしまい、絵を描くのをやめてしまいとさ。
 悪くはないんですが、発想の1個目って感じがして弱く感じてしまいます。
 
 何気ない他人の一言が影響を与えたとしたいなら、その後の「上から落書きしちゃう?」とかの台詞はちょっとやり過ぎの欲張り過ぎだと思います。
 そんなにわざとらしくしなくてもw

 ていうか友達2人はまひるが絵を描くことこの時から知ってるはずなので、余計に言わされてる感が強いんですよね。

 
 あと、自分で黒歴史だと言っているのに 海月ヨル のアカウントを残しているのは何故?

 少なくともこの思いっきり顔が出ている投稿は削除するんじゃないのか?


 まひるは没個性なのに共感性が薄いキャラに仕上がっているように思います。


 他キャラについて。

 花音については、第1話で「ヨルって結構普通なんだね」と言っていて、小学生のときにちょろっと絵を描いていただけの子に何をそんな期待することがあるんや?とは思いましたが、彼女はそういう役回りなのでこれでいいと思います。
 それよりも、15歳の女の子のところに記者が突撃取材とかするかなぁ? 暴行って言ってもそこまで過激なものでもないやろうし、ちょっとしたことでも騒がれる程人気ならまひるが知らないっていうのも違和感よなぁとかそっちの方が気になりました。


 木村ちゃんについては、橘ののかと山ノ内花音の両方を推すことにしたそうですが、そのきっかけとなったものはよくわかりませんでした。
  昔した約束を覚えていてくれた というのはただファンとして嬉しいことでしかなく、別に表現者としての山ノ内花音に何か感銘を受けたとか、根っこの部分に橘ののかを感じたとかでもなかったのが非常に残念です。

 
 キウイちゃんはエピソードがまひると付随していることや順番で一番損をしているように思います。
 新しい環境で上手く馴染めず引きこもりへ…という気持ちは理解できるんですが、正直 まひる木村ちゃんと続くと、あぁはいはい また周りの所為ね と思ってしまいました。
 現実ならままあることなんでしょうけど、フィクションとしては面白味にかけます。

 踊りの部分とか感動的っちゃそうですけど、でも元はと言えば自己紹介でやらかして、その後自分の好みを相手に押し付けてばっかりのキウイちゃんの自業自得だしな…とか、まひるはこの2年間こっちの誘いは全部断るくせに友達とファミレス行った話とかをしてくるキウイちゃんを一度も不審に思ったことはないのか? とか色々考えてしまいます。


 キャラクターの内情を描くのが不得手な本作品ですが、この先関係性が深まっていき何か化学反応を起こすでしょうか次回に期待です。

           {/netabare}

 第4話視聴しました。
 {netabare} 今話は順当過ぎる程に花音についての掘り下げ回となりました。
 それと同時になんだかこの作品の底も見えてしまった、そんな一話でした。

 
 では、本編です。

 どうやら、前回発表したMVは再生数一万回を突破したようです。
 まひるは「一本目で一万いったら充分じゃない?」と事も無げに言いますが、充分どころの話じゃなくないか!?
 チャンネル登録者数2人だったアカウントでいきなりオリジナル楽曲出して、一万回、充分すぎるって!

 個人的に、この一万回という数字はそれほど荒唐無稽な話ではないと思っています。
 なぜなら、この結果って竜ヶ崎ノクスによる宣伝効果の賜物ですよね?

 別に活動が順調な滑り出しをしていることは構わないんですが、ここでまひるが「さすが、キウイちゃんが宣伝してくれただけのことはあるね」とか、花音が「まぁキウイちゃんのファンが見てくれたからね…でもまぁまずは知ってもらう事が大事!」などの何故こうなっているかを自覚している台詞が必要だったと思います。

 
 その後、花音のサンフラワードールズに対するなかなか一言では言い表せない感情が露わになったなったり、プロデューサーがお母さんであることなどが明かされました。
 花音は第1話でまひるに対し「ヨルって結構普通なんだね」という印象的な台詞を残していましたが、この感じから察するに花音も結構普通そうですね。


 キウイちゃんと木村ちゃんが花音と帰ってくるとまひるが部屋の掃除をし、シチューを作って待っていました。
 自炊をしなさそうな2人の家にシチューの食材があるわけねぇだろ、と考えてしまうと なんかとりあえず家事ができたらキャラの株があがるだろっていう安易な発想のもとこんな事しているんだろうなと邪推してしまいます。


 食後には互いに秘密の暴露大会が始まりました。

 キウイちゃんについては前回でも思っていましたが、中学デビューで失敗したなら高校は知り合いいなさそうなとこに行くとかは出来なかったんですかね?
 立北高校は中高一貫の私立校っぽいので、高校から心機一転としやすいと思うんですけどね。
 それも込みで虚栄を張ってしまったってことなんでしょうか。
 というか、そもそも高校デビューで失敗したで良かったような…。


 木村ちゃんの秘密は、歌が苦手なことだそうです。

 先生にまで止められたことがショックだったようで、「まるで、私が変だって世界に決められちゃったみたいで…」と語ります。

 …いや、音程が合ってないんだから、そりゃ変だろ。
 
 楽曲の理解や表現について食い違いがあるというならまだ分かりますが、音程が合っているか外れているかっていう段階の問題で個人の解釈なんか入ってこねぇよ。
 お前が外してるんだから、お前が変だよ。

 
 その後夜を徹して作業した結果、曲とMVが完成しました。
 1日徹夜して完成するなら、ちゃんとスケジュール立てていれば来週の水曜日までなんて余裕だったんじゃないですかね?w
 全員満身創痍な感じでしたが、キウイちゃんは意外と健康的なタイプの引きこもりなんでしょうか。
 
 
 仮眠をして起きるとどうやらバズっているらしいです。
 どういう理由でバズっているかはまだ定かではありませんが、やっぱりなんか軽いですね。
 創作活動においての産みの苦しみも無く、注目してもらうための工夫もない、でも結果だけは転がり込む。

 非常に素敵なファンタジーだと思います。

 ファンタジーならファンタジーで大いに結構なんですが、一丁前に現代的なテーマ性がありますよ みたいな顔をしているのが問題なんでしょうね。

 次回に期待です。

            {/netabare}

 第5話視聴しました。
 {netabare} 今話は まひる というキャラを主人公に据えた本作品にとっては避けては通れない、チェックポイント的な話だったように思います。

 
 では、本編です。

 前回の 引き であったバズっている要因は、やはりアクシデント的なものだったようです。
 今話のような、ひょんな事でバズってしまった でもちゃんと中身も聞いてもらえているから前向きに考えよー! ということを印象付けたいなら、どうして一曲目から一万回再生の好調な滑り出し にしてしまったんでしょうね。


 順調に増える再生回数に浮かれるまひるでしたが、「イラストだけしょぼくね?」というコメントを見つけてしまいます。
 本作品の性質とは逆なコメントですね。

 ショックを受けるまひるは追い打ちとして、有名絵師による二次創作を喰らってしまいます。

 花音は自虐モードになってしまったまひるを、俺が信じるお前を信じろ!というグレンラガン構文を用いて励まします。

 少し元気を取り戻したまひるでしたが、「私より上手い人が描かないでよ、邪魔だな」という気持ちを抱えていることがわかります。
 まひるが自分より上手い絵師に対してや、二次創作を喜ぶ花音に対して嫉妬の感情を持ち、その本音をしまい込んでいる様子は ことなかれ主義で相手に本音を明かすことを怖がるまひるらしいと思いました。

 思っていたんですが、その後電車内で人目も憚らず急に花音に「あの人と私どっちが上手いと思ってるの?」と瞳孔開きながら詰問し始めていて、またまひるの事を掴みそこなった感じがします。

 「めんどくさいね」って言っておけば何でも成立するわけじゃありませんよ?

 
 その後、悔し泣きながら絵を描くまひるの様子はとても印象的なシーンでした。
 
 ですが…その…まひるは絵の上手さについてこだわっていますけど、そこを取りあげてしまうとさ…圧倒的に絵に対してかけてきた時間が違うやんって話になってしまうような気がするんですよね。

 10歳を境に精力的に描くのをやめたっていう長期的な点でもそうですし、この2曲目に関しては徹夜の大急ぎで仕上げてたやん。

 
 そして、その後渾身の絵と共に3曲目を発表したわけなんですが…
 根本的な画力で悩んでいた子が、たかだか2週間弱の頑張りでそこそこ納得できる画力を手に入れとても素敵な絵が描けました! となってどうするよ。

 ここで必要だったのは、あくまでもまひるの技術の上達ではなく、曲や歌詞に対しての理解度 ひいては花音に対する理解度を深めようとする姿勢、今回のイラストにどういうメッセージ性をつけるのかという葛藤、そしてJEELEの楽曲を表現することについては誰にも負けたくない という気概だったように思います。


 こうしたようにもう一歩だけ踏み込むことを止め、初詣にてほっぺにチュー のような見栄えだけを意識した演出に尺を割くから内容が薄まってしまうんだと思います。

 一応、次回に期待です。
  
           {/netabare}

 第6話視聴しました。
 {netabare} 今話は言うなればギャグ回というか箸休め的な一話であり、中身も母娘のハートウォーミングな内容でした。
 本作品のストロングポイントである「見やすい」に特化した一話だったように思います。


 では、本編です。

 スランプに陥った花音を慮り、一先ずDMに来た楽曲制作依頼者と話してみる一行。
 匿名シンガーやってんのにホイホイ人と会うなよ笑

 みー子さんに対して「設定が甘い」とまひるが言及していましたが、甘さについてはどっこいどっこいなのであんまりギャグになっていませんね。

 それから、ハロウィンライブでの件を持ち出され否応なしに楽曲提供を引き受けることになったわけなんですが…
 これ、みー子さんは何を根拠にあの時の仮面少女とJELEEを結びつけたんでしょうね?

 いや まぁ、みー子さんからすると歌声しか判断基準がないので、たまたま回ってきたJELEEの楽曲を聞いて、チャンネルのページに移り、過去の「カラフルムーンライト」の動画を見つけ、聞き比べて確信を得たってことなんでしょうか?
 みー子さんはすごく耳が良いんですね!

 
 その後、みー子さんには小学生の娘がいることがわかり、その子と木村ちゃんが 誰かを推すこと について話したりするんですが、正直 この亜璃恵瑠ちゃんの心境の変遷が都合よく扱われすぎだと思います。

 亜璃恵瑠ちゃんは少し前まで暗い性格で、お母さんを見て気持ちが楽になり明るくなったそうですが、そのきっかけが いつもと変わらないお母さん ということなら、何故そもそも暗い性格になってしまったんでしょうか?

 まぁこれは最悪、生来の性格がそうであったから として飲み込むとしても、その後の 周りにからかわれる事
でお母さんや自分が変なのではないか と思い詰める様子を見せるのはさすがに物語として恣意的に誘導し過ぎなような気がします。

 さっき、人ってこんなにも考えずに喋ってもいいんだ という知見を得たって話はどこいってん。

 上げる演出の為にわざと下げる を繰り返しているように思います。

 木村ちゃんが返答するターンでは、第2話では大して深堀りされなかった事に対する補足がなされるのかと思いきや、当たり障りのない台詞かつJELEEとして活動してみたことが活かされているわけでもない台詞で肩透かしを食らってしまいました。


 場面変わって、あっという間にライブ当日となりました。
 亜璃恵瑠ちゃんはお友達と初詣に行ってからライブに来るそうです。
 これなんでわざわざ初詣にしたんでしょうね? 作中時間は冬休みも終わった1月の4周目突入間近くらいだと思うんですが、どうしても花園神社をもう一度出したかったんですかね?

 ここで亜璃恵瑠ちゃんは同級生の男の子に絡まれてしまいライブに間に合わなくなってしまいますが、亜璃恵瑠ちゃんは思ったよりギリギリのタイムスケジュールで行動しているんですね。
 
 男の子のコメントを見て察したキウイちゃんの「同級生の悪意だと思います。学校ってそういう場所なので…」という台詞、みー子さんに状況を理解させるための圧縮された良い台詞だと思うんですが…

 傍若無人な小学生時代を過ごし、そのノリが中学校では通用せず出とちり、その後自分の好みを相手に押し付けるだけの交友術が災いし居場所をなくし、高校に上がっても環境を変えようとせず勝手に引きこもり、親友に対して虚言を弄して見栄を張っていた、何から何まで自業自得な子が、果たして学校生活というものをどれだけ理解しているんでしょうね。
 

 その後、飛び出して行ってしまったみー子さんの代理としてステージに立つことになった花音たち。
 ステージパフォーマンスと衣装もあいまってとても新鮮でした。
 
 意外だったのは、会場にほぼ満員くらいのお客さんが入り、熱狂的なファンもついていることです。

 これは別のアイドル作品でも書いたことがあるんですが、事務所ライブでキチンと集客ができるアイドルをクビにする理由ってなんなんですかね。
 
 吹っ切れたみー子さんは秘密を暴露し、曲もバズることができめでたしめでたしとなりました。
 最初にも書いたようにハートウォーミングな話だったように思います、みー子さんには小学生のアンチコメントよりも戦わなくてはいけないより恐ろしく厳しい現実があるとは思いましたが。

 
 でも…なんかほんと、ずーーっと周りが悪いですね この作品。 引き出しが少ねぇって。
 世間の目やいわゆる「現実」が、打破するもの 乗り越えていくもの ではなくただの「悪者」でしかないのは非常に歯痒いです。
 
 ただまぁ大人になるとこの作品のように周りの所為ばっかりにする話には中々恥ずかしくてできませんが、それを乗り越え 彼女たちの目線に立った等身大のストーリーに仕上げているんだという点で見ればとても良いと思います。
          {/netabare}

 第7話視聴しました。
 {netabare} 前回のギャグ回 もしくは 箸休め回を経た今回は、脚本担当曰く 進路回 だそうです。
 果たしてどうなるでしょうか。


 では、本編です。

 進路について考えている面々と話し、なにやら自分も思うところがある花音、とりあえずキウイちゃんの教習所合宿に同行するそうです。

 てっきり進路とかについて悩むのは まひるの役回りかと思っていました。
 結局、才能を持った花音も普通の人と変わらない悩みを持つんだよみたいな展開に行くんでしょうか。

 キウイちゃんは出席が足りず卒業できないだろうから高卒認定試験を受けるそうですが、進級自体はできているんですかね?
 できているとしたら、新年度になったばかりなんだから自由登校まで後もうちょっとくらい頑張れよ と思いますし、それか、できていない もしくはできたけど行く気がない ならまわりくどい言い方はせず新年度を機に中退した、でいいんじゃないのか?
 
 なにはともあれ免許合宿が始まりました。
 驚いたことに作中はもう5月なんですね、前話から4ヶ月も経ちましたか 時の流れは早いですね。
  
 これまで焦りながら続けざまに3曲+1曲を公開してきましたが、今は随分と余裕がありますね。
 そういえば現サンフラワードールズへの対抗心がうやむやになっていますが、もういいのでしょうか。
 前回からのスランプがまだ続いているんですかね。


 その後、教師を志すというキウイちゃんの胸中が語られます。
 中学時代に苦しい思いをしたキウイちゃんが教師を目指すというのは立派だと思います。
 でも、その動機付けの中身を 自分がマイノリティ側だった故 みたいにすんなよ。
 前にも書きましたが、キウイちゃんが浮いてしまったのは趣味嗜好が原因じゃねぇって、自分が求める反応を周りがしてくれないって駄々こねてただけだろうが。
 
 なんでこの子はずっと被害者面をしてんだよ。
 
 教師の的を得ていない指摘はまだしも、同級生のわざとらしい台詞で被害者面を増長させてる場合か。
 不登校してる奴の顔を覚えてる程、みんな暇じゃねぇって。

 それと、キウイちゃんはわざわざ変装道具を持ち込んでまで合宿中に書類を受け取りにいく必要性はあったのか?
 試験の出願はもう済んでいるみたいですし、高卒認定試験って8月ですよね?
 さらに言うなら、二輪免許取得の合宿期間てだいたい10日かからないくらいですよね?
 合宿前でも合宿後でもなく合宿中じゃないとダメな理由is何?


 その後、不思議なお姉さん小春さんを交えた会話で花音が「いいんだよ 変なくらいで、普通よりはマシ」と語ります。
 台詞の意図は分かりますが、この作品の現状は「尖っていると思われたい」という一番普通な感じなのはなかなか皮肉ですね。

 それから、今話は急にチチに関する話をねじ込んできましたが……テコ入れですか?



 免許を無事取得した花音はまひるを連れ海へやってきました。

 花音はどうやら、掲げた目標の意味やそれを目指す情熱、自分が歌う理由がわからなくなってしまっているようです。
 まわりがちょっと進路の話をしただけでここまでグラつくなんて、花音ちゃんも大概普通ですね。
 飛ばされた時間の間に何かあったのかもしれません、想像で補いましょう。

 前話で作詞につまり、今話で特にエピソードもなく目標や歌う理由すら見失っているなら、なんかもう…やめりゃあいいのに… っていう心情にしかならないんですけど…。

 今話の花音が抱える悩みって作品として大事なポイントだったと思うんですけど、なんかいつの間にか生じた問題がいつの間にか勝手に解決してしまったような気がします。
 進路とバイクの一本橋をかけて満足してる場合じゃないんですよ。


 余談

 今話で登場した宮本境教習所は武蔵境教習所のもじりだと思うんですが、これは単純にフィクションとしてってだけではなく、二輪の二人乗りに関するルールも知らない奴に合格を出す教習所であるという炎上を回避するためだったりするんですかね笑
 
 次回に期待です。

         {/netabare}

 第8話視聴しました。
 {netabare} 今話は花音の身バレ問題も含みながらも「JELEE」結成一周年記念ライブを行う話となりました。
 先に今話の感想を総括してしまうと、やはり「浅さ」を感じる一話でした。
 見えていた底がまさかせり上がってくるとは思いませんでした。
 今話のように、SNSにリアタイでファンアートを募る取り組みはオリアニの強みを活かしていてとても良いと思うんですが、でも企画ありきの話作りをされてもな…。


 では、本編です。

 時系列は前回からグイグイ進みもう8月になり、結成一周年を迎えるにあたり花音からライブの提案がなされます。
 今話は このライブというものに強く思い入れがある花音の様子が印象的でした。
 
 そういえば、花音って別に匿名シンガーだからこその表現がしたいわけでも、匿名シンガーでいたいわけでもなく、あくまで世間をある程度見返したいだけですもんね。
 本当ならガツガツ前に出たいんでしょうね。

 それと、もう一つ印象的だったのは、せっかくライブをするなら新曲を作ろう とか、大晦日に今年の集大成として作ろう などと花音が言っていて、なんか…「JELEE」は節目がないと制作ができない感じになっていますね笑
 人間らしくて親しみが持てるといえばそうなんですが笑


 その後はキャッキャッウフフな合宿をパートに入っていきます。
 ステージについてよく下調べをしていたのに、観客にクソかさばる傘を持ってくるよう指示していたのは笑いました。

 
 合宿を終え 会場の下見をしている際、「私達の一歩目 JELEEが現実を泳ぎ始める最初の舞台」と花音がサラッと言っていますが、他3人はこういうライブをしていく方向性にみんな納得しているんですね。
 

 そうこうしているといよいよ満を持して盛大に振りかぶりながら、花音の身バレ問題へと突入していきます。
 花音もまさか みー子さんのあのライブから半年以上も経ってから特定されるとは思わなかったでしょうね。
 前話で入れるスペースがなかったので致し方ありません。

 大きくなる騒動に対し、キウイちゃんは「なんだよ…これ…」と漏らします。
 まぁでも、とは言うものの そもそも前提としてこうなるから匿名シンガーをやっていたわけで…

 結果的に、みー子さんのライブにて かつて仮面をつけていても正体がバレた実例がすくそばにいるのにも関わらず、顔を隠さず舞台に立ったことや、最近浮かれ気味だった花音にしっぺ返しがきてしまいました。

 こうなっても誰も花音の過去について言及しようとしないのは優しいですね、最良だとは思いませんが。
 「JELEE」の活動は4人のやりたい事だ というなら花音の過去も4人で背負うのが筋だと思いますが、それは次回以降に期待ですかね。
 
 会場貸し出しを渋る店長さんにキウイちゃんが無観客ライブを提案します。
 咄嗟の機転はステキですが、無観客ライブならもうここでやる必要なくないか?


 あっという間に2ヶ月が過ぎライブ当日となりました。
 結局ネットの騒ぎはほとぼりが冷めるのを願ってフルシカトでだんまり決め込むとはなかなか肝が据わっていますね。
 ライブは開催できるのかという問題が、無観客でファンと繋がれるのか という問題に一瞬ですり替わっているのも見事です。

 ライブ開始直後、ファンアートが映し出される演出に驚愕していましたけど、結局あれからキウイちゃんが1人で舞台のセッティングなりなんなりをしたってこと!?
 なんか…「JELEE」の関係性って歪ですね。

 たくさんのファンアートが寄せられたことに対して、まひるが「ハッシュタグが出来ててね」と言っていますが、
 えっ!?自分たちで仕掛けたわけではなく勝手に出来たん!?

 これらの絵は全部、リアルの顔なんて関係ない 私たちが好きになったジェリーちゃんはこのクラゲの女の子
なんだから信じよう って思いで描かれているらしいです。
 えっ…じゃあ今から自分たちの姿をチラ見せしながらライブする意味って??
 このファンアートを描いてくれた人たちは別にこの形のライブを望んでいないってことになっちゃいますけど…。
 それから、ファンアートを見て繋がっているって感じるなら別にこれまでとなんも変わんなくね?

 曲が進みテンションが上がったキウイちゃんが「顔バレ?アンチコメント?関係ないね!」と息巻いていますが、そうやって開き直るならもはや「JELEE」である必要はなくなってしまいますね。

 後、野暮なこと言ってしまうと、ライブの演出がほとんどイラストで進行していますが、だったらこれ新曲のMVってことで良かったんじゃね? 

 4人は達成感でいっぱいでとても満足気ですが、本当にまひるの台詞通り花音1人のわがままから4人のわがままになってそのまま終わるとは思いませんでした。


 今話のまとめとしては、前述やタイトルにもしているように起きている事象とキャラに対する踏み込みが今一歩な感じで、いつまで浅瀬でパチャパチャやってんだという印象です。
 今話でも触れなかったため、花音ちゃんの過去の出来事に対するハードルが高くなっていますが大丈夫ですかね。
 次回に期待です。
              {/netabare}

 第9話視聴しました。
 {netabare} 今話は物語として終盤を迎えるにあたり、大きな転換点となった一話だったと思います。
 場面自体はシリアスな雰囲気を醸し出してはいますが、全てのパートにおいて疑問符がつきまといながら進行していて ゲームオーバー間近のテトリスを想起させます。

 
 では、本編です。

 冒頭は、花音が作文を発表しそれを周りがクスクス笑っている というこの作品お得意の 学校の人間はみんな悪者!からスタートします。
 とりあえずなんとなく花音を孤立させるためにモブAに「やっぱ変な子だね〜」と言わせるだけなんて、やっつけ仕事にも程があるだろ笑


 OPが明け、フォロワー10万人突破を皆で喜びます。
 疑惑や騒動に関しては前回のアレで本当に解決なんですね。


 まひるは仕事の依頼についてキウイちゃんに相談します。
 まひるは最近だんだん自分の絵が好きになってきて、この仕事を受けて自信に繋げたいようです。
 
 この子は第7話にて、自分の絵を好きになりたいのとすごい絵を描いて喜ばせたい人がいるから美大に行くんだと語っていたはずですが、もうすでに半分は叶ってきているみたいで良かったですね。
 
 まひるは「このチャンスを逃したら、こんなことはもうないよね。」と続けます。

 えっ…そうなん? むしろ流れとしては目標としていたフォロワー10万人も達成してこれからなんじゃ…?
 なんでこれまで散々トントン拍子のキラキラサクセスストーリーをやっておいて、もう次はないかもみたいな悲観的にさすん??


 その後、木村ちゃんに雪音さんについて教えてもらい、花音との電話パートに入ります。

 芸能事務所社長が暴露系配信者をやっているかもしれないことを天国と地獄の扉両方の鍵を握っている、とめちゃくちゃいいように言っていたのは笑いました。
 結果的に違うかったみたいですが母親が暴露系配信者をやっているって、普通に枕営業とかしているよりイヤですね笑

 何はともあれ電話パートです。

 崩れている絵を褒めてくる花音に苦笑いのまひる。

 この場面で何故か急にアホになってしまった花音が印象的ですが、これはお母さんとの対比を演出するための苦肉の策なんでしょうね。
 敏腕プロデューサーかつやり手社長 という人物像を描く際に、優秀さを考えるより比較対象に知能デバフをかけた方が楽ですもんね。


 打ち合わせ当日になりました。

 仕事としての実績はなにもない、しかも高校生に重大なイベントの根幹の部分を任せるって、お母さんだいぶはっちゃけてますね。

 大きい話に対し、自分の絵は未完成であると尻込みする様子を見せるまひるなんですが…
 まひるが言う「未完成」って先程も登場したこの絵のような所謂ミスみたいな部分の話なんですか?
 表現したいことに対して技術が追いついていない とか モチーフに対する理解力をもっと深めたい とかでもなく??
 イラストそのものに対しても、絵を描くことそのものに対しても信じられないくらい浅いところで会話のラリーをしているので驚愕です。

 それと、そもそも根本的な部分 かつ これを言ったらお終いなのかもしれませんが、このライブで描いたクラゲの絵 言うほどスゴイか?

 人にインスピレーションを与える程、印象的か?革新的か?思想があるか?世界観があるか? うーん……。

 この打ち合わせ、雪音さんの優秀さとまひるがかけてほしい言葉をかけてもらえた喜びを出したいなら、これまで描いてきた絵を見て雪音さんが「これは〇〇を表現しているのよね」とか「この絵はこうゆう感情が伝わってくるわ」とかをズバズバ言い当ててくる みたいな感じの方が良くないか?
 小手先の技術を褒められるより、絵として表現したものを汲み取ってもらえる方が何倍も良くないか?

 あぁ…でもそうか、そういえば まひるが絵に対してなにか想いを込めていたことなんてありませんもんね。


 Bパートに入り、いよいよ花音の暴行事件について語られます。
 ここまで引っ張ってきたのに、いきなり回想として済ましてしまうのは意外でした。

 雪音さんの夢は「自分が0から育てたアーティストがドームの五万人の前で歌うこと」だそうです。
 じゃあ大きい事務所は辞めない方が良かったんじゃない?

 虹色少女の喫煙動画が流出し問題になっているみたいです。
 騒ぎようから未成年喫煙だったのかと思っていましたが、明文化されていないのでそういうわけではないみたいですね。
 にも係わらず謝罪動画を出して謹慎処分て、その辺の感覚がよく分からないんですがアイドルが喫煙してるのってそんなに許せないんでしょうか?
  
 ていうか謹慎処分て事務所が出しているんですよね?そもそも、大きい事務所のアイドルが楽屋らしきところでパカパカ吸っているのを黙認していた事務所の監督不行き届きなんだから、そんな謹慎も重くならないような気がするんですがどうなんでしょうね。

 
 その後、「見ろバカ」の正体がメンバーのメロだったことを知った花音はその場でメロをぶん殴りました。
 
 思っていた以上にフワッと語られたので、正直 何がトリガーで相手を拳で殴るまでに至ったのかが不明瞭です。
 確かに「見ろバカ」のやっていることは褒められたものではありませんが、虹色少女の行為は少なからずイメージを損なうものではありそこに嘘も脚色もありません。
 本人にチャンネルの閉鎖を訴える、や お母さんに相談するなどもなく、正体を知った驚きのままとりあえずぶん殴るって何がそんなに花音を突き動かしたんや?

 ファンの悲しみコメントや謝罪動画がフラッシュバックしてたけど、そんな正義感あふれるような子やったっけ?
 
 そんで、恐らくタレントクローク的な場所にも関わらずスマホ構えて野次馬してた連中はなにもんやねんw

 雪音さんはこれ内々のケンカとして処理できなかったんでしょうか?
 殴ったっていっても15歳の女の子ですし、ステージ上で起きたわけでもないですし、どうしても炎上するような内容だとは思えないんですけど…。
 これですぐさま見限ってしまうって、雪音さんちょっと諦めが良すぎるような…。

 ていうか、お母さんはメロのやっていること知っているんですかね?
 知らなかったとしたら、「偶然 枠が空いたわラッキー!」って思っている天然さんになってしまいますね。


 完全に視聴者のためだけの回想が終了し、現在へと戻ってきました。

 進捗報告の場で、ご破算を告げる まひる。
 頼むからこのミーティングはあの打ち合わせ直後に行われていてくれ…!

 まぁ例えそうだったとしても今回一番タチ悪いのはコイツなんですけどね。

 まひるの言い分を聞いてみましょう。
 「本当にごめん、私やっぱりこの依頼受けたい」
 「本当にごめん、でもやってみたいの、大きな舞台で自分を試したいの」
 「前まで自分のこと大嫌いだったけど、最近は絵を描いているときは自分が好きになってきて…」
 「楽しかったから…違うの…」
 「私、もっと上手くなりたい!私の絵のこと、自分のこともっとちゃんと好きになりたいから!」

 マジで自分の話しかしやがらねぇなコイツ! コイツの方をぶん殴った方がいいんじゃないのか。
 
 技術を褒められたいだけのまひるに大きな舞台で自分を試す必要なんかないと思いますけどね。
 毎日、ひたすら必死にデッサンしてろよ。


 そういう問題じゃない!と花音が大きな声を上げてしまいすが、こういう場合感情的な方が言ってること正しいことってあるんですね。
 本当に、そういう問題じゃない。

 その後、花音の言葉によりまひるは傷ついたみたいな顔していますが、明らかに花音にここまで言わせたコイツが悪い。

 まひるがやっている事ってつまりは、真っすぐこっちを見つめながら丁寧に…
      まひる「踏み台 乙www」
           って言ってるわけですからね。

 第5話以降、まひるの海月ヨルとしての葛藤なんかなかったやん。
 頑なに、これからも「JELEE」として活動していく上で私も成長したいみたいなこと言わないのは、なんなん?

 コイツ前回自分で言った台詞、覚えてないのか?

 「花音ちゃんが無茶言い出して、仕方無いなって言ってついていって…でもそれだけだと思う!? 私も見たくなってるんだよ、花音ちゃんが見た景色。だからライブは花音ちゃんだけのワガママじゃない、これは私たち4人のJELEEのやりたいことだもん!」

 ということは、前回のライブは4人ともやりたいJELEEのやりたいことだったからやったけど、今回の集大成MVは別に大きな仕事も来たし、そこまで私はやりたいことではないから、これはJELEEとしてやりたいことではない、よし!1抜けた! ってことですよね。

 こういうのを、自己中と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょうか。
 

 今話のこの展開は、互いのキャラの主義、主張、理念、スタンス、物の見方 考え方、などが対立した結果としてギスギスした展開になったのではなく、第9話だしとりあえずギスギスさせとくかw くらいのノリでしかありません。
 テーマにもキャラにも思い入れがないくせにギスらせるのは甚だ無意味だと思いますが、これからまくってこられるでしょうか。


 次回はホームページにて、JELEEの大事な場面に居合わせる事が多い と明記されていたみー子さんが再登場するようなのでそこは期待です。
 
                {/netabare}

 第10話視聴しました。
 {netabare} んん?あっ…こういう感じ…?

 今話は、前回のギスりを踏まえ各々の「JELEE」としての関係性についての心情や考えが見えると思っていましたが、今話の内容をまとめてしまうと「前回でモチベーションが下がってしまった花音をとりあえず元気付けましょう!」でした。
 花音が歌う理由を見失ってしまったのは三話ぶり二度目ですが、感情の起伏が激しいのは実に10代らしくて良いですね。
 やりたい演出が先行しすぎて、演出のための展開になり過ぎている気もしますが…。


 では、本編です。

 やる気がなくなってしまった花音に代わり、アルバイトをする木村ちゃんとキウイちゃん。
 キウイ「活動休止したいって、なんでだよ!?」←いや、なんでかはわかるやろ。 キウイちゃんは時々すごく的外れなことを言ったり、やったりしてますね。

 木村ちゃん「ののたんは弱くありません!ファンだけは裏切らないアイドルだったんですから!」←メンバーを殴って辞めたことはカウントしないんですね。

 アルバイトをしている様子はいいんですが、何か違和感を感じます。
 この2人は、急に休みたいと言い出した花音に困惑しているけども 信じて待とう! みたいなスタンスをとっていますけど、前回のあの場面に同席して目の当たりにしていたのにもかかわらず、そんな見解なんですか?

 今回の花音の心情を推測してみたりもせず、そこから花音とまひるの関係性についても考えてみたりもせず!?
 作劇上 特別な関係性の2人をメンバーとして近くで見ていた者の視点で語ることもなく!?
 
 今回の件に関して、相談をされていたキウイちゃんはともかく、色々とありまして とだけしかまひるから聞かされてなかった木村ちゃんは何も思うところはないんですかね。


 外に出された木村ちゃんは瀬藤メロに出くわし、花音のことを聞くため特攻を仕掛けます。
 
 これ…追いかけ回す様子がギャグになっていますけど、世間的にも実際の事実としても瀬藤メロは花音にぶん殴られた被害者なわけなんですが、そんな相手に花音の関係者なんですって言って話を聞かせてもらえると本気で彼女は思っているんでしょうか?
 確かにメロは強かであり、ただ可哀想なだけの被害者でないことは確かですが、それを知っているのは当事者と視聴者だけですよね?
 それとも木村ちゃんの中ではあの事件はなにかの間違いとして処理しているんですかね? でも残念ながら本当にぶん殴ってるんだよな…。

 あぁでも、そういえば第2話の時に木村ちゃんは 空気読めない系 と言われていましたね。
 
 それと木村ちゃんはメロのSNSなどをマメにチェックしているんですね。
 てっきり橘ののかだけが目当てで現サンフラワードールズには興味ないのかと思っていました。

 その後、メルの雪音さんへの心酔っぷりと花音も自分と同じであるということを木村ちゃんに話します。

 メルはなにやら意味深なカットが多いですが、残りの話数で彼女についても拾えるんですかね。
 正直、「見ろバカ」についてのあれこれは全体を見た時の余計な装飾品になりそうな気がしています。


 みー子さんの家にデリバリーしに来たキウイちゃん。 
 みー子さんに「JELEE」の現状について話しますが、ここでも違和感です。
 「気持ち的に歌えないんじゃしょうがない」「告知してた年末の新曲は?」「新曲はもう多分無理で…」

 なんか…花音が休んだ影響で…みたいな言い方してますけど…
 いやいや…ちょっと待ってくださいよ、元はと言えば告知もしていた段階で、やっぱ別の仕事やりたいんでって抜けたまひるの所為ですよね?
 キウイちゃんはまひるの背中を押した張本人やん!
 まひるから相談を受けた段階でちゃんとした形で年末に発表することは無理なんわかってたやん!

 ただの新曲ってだけならまだしも、今年の集大成としての作品を作ろうってコンセプトで動いていた企画を、とりあえず曲だけ先に出して後からMVつければいいやって本気で思ってたん!?

 まぁ、まひると電話をした際にも「まひるから何か言ってほしい」くらいの認識でしかいなかったですもんね。


 そして、この電話で今回の騒動の原因、大元、本丸であるまひるは何を語ったのかと言うと…
 
 「私はこの仕事を選んだんだ、だから今 何を言っても嘘になっちゃうから」
 いや、あなた一番言うべきタイミングの時、自分の話しかしていませんでしたけど?
 キウイちゃんが言った、話したらわかってくれるだろ って一方的に自分の気持ちだけを相手に投げつけて後は知らんぷりすることじゃありませんよ?

 「けど、必ずもっと上手くなって約束を果たすから待ってて欲しい」
 自分の脳内の美談を基準にして他人と関わるな馬鹿。
 花音からすればお前は自分を踏み台にしていった裏切り者でしかないよ。
 木村ちゃんにもちゃんと謝っとけよ。


 その後、花音は木村ちゃんにお母さんに対する述懐をしたわけなんですが…
 いや、あの依然として じゃあなんでメロをぶん殴ったんだってところが解決しないんですけど…。

 お母さんは私の人生を自分の為に使いたかっただけなんだ って気付いたのはぶん殴った後ですよね?
 
 「私、自分が利用されてお母さんを恨んでたのに…」

 えっ…自分が利用されてお母さんを恨んでた!?ですって!?

 いや、だから!問題を先に起こしたんは自分やん!

 雪音さんの「私の為に歌ってくれる?」に「うん!」て元気よく返事したんは自分やん! 

 学校で馴染めてなかったけど、才能を開花してもらいアイドルとしての居場所を得て、それを楽しんでたのは自分やん!

 ファンの前で歌うこと ファンのみんなと一つになることの気持ち良さを熱弁してたのは自分やん!

 何を恨む道理があるねん!! 切り捨てられたことを恨むにしても、だから先に手を出したんは自分やん!!

 
 「私…まひるの人生を自分のために利用しようとしてた…」
 いや、この場合利用されてるのは花音の方なんだよな…。

 なんかもう、訳分からんところで被害者面し、全然間違ったところで責任を感じていて、支離滅裂のぐっちゃぐちゃですね笑 これを狙ってやってるなら逆にスゴい。
 

 木村ちゃんとキウイちゃんの電話のシーン。
 キウイちゃんの本音がポロッと出たりしましたけど、ここまでの行為を見ている限り、キウイちゃんは一步下がった位置にいるもののその実何も分かっていない厄介なキャラになっていますね。


 場面は今話の山場である生配信に突入します。

 明らかにメンタルが落ちている人の言葉を受けて、木村ちゃんとキウイちゃんの2人での配信で解散を宣言しましたけど、こんなすぐさま解散しなアカン理由って何??
 せめて活動休止にもしない理由って何??
 とりあえず、まひるの仕事が終わるまでも待てない理由は何??
 まひるはこの事知ってんのか?

 木村ちゃんが「最後なんて嫌ですー!」って歌い始めましたけど…
 これ、ファンからしても 知らんがな案件 過ぎません?

 そもそもが勝手にやってる音楽活動で、勝手に音楽以外の所でモメて、勝手に一部のメンバーだけで解散を宣言して、それで やっぱり嫌ですー!で 仲直り☆  知らんがな!!

 しかし、歌唱シーンは間違いなく凄かったと思います。
 熱量が高く作品全体の山場としても機能していたと思います。

 そもそもなんでこうなったのかはさておき、どうして花音はこういう気持ちになったのかもさておき、とりあえず 元気出してけ!テンション上げてけ!公開告白だ!FU〜! は些か勢いに任せすぎな気がしますけどね。
 第7話のときの相手がまひるから木村ちゃんに変わっただけじゃないか?

 なんか本当にやりたい演出しかしませんね。別にそれでも構わないとは思いますけど、せめて一定以上の説得力はくれ。
 

 今回の生配信を聞いて微笑ましそうに笑っているまひる。
 いや、笑ってる場合か。元凶はお前やぞ。

 まひるはこれ、あのまま解散ってことになっていたらどうするつもりだったんでしょうね。
 解散にならなくても本来なら、自分以外のメンバーの結束が固くなり戻ってこれなくなっちゃいそうですけど…。
 今回は何故かメンバーが事の発端についてを記憶喪失してしまったので事無きを得ましたけどね。

 
 ていうか、みー子さんの出番…というより役割ほとんどありませんでしたね。
 別にみー子さんである必要はなくバイト先の店長さんがやっていても良かったですね笑

 後、熱帯魚越しに映っていた男性はお父さんでしょうか?
 どう話に絡むのか気になりますね。

 と、思っていたら今話はキウイちゃんの竜ヶ崎ノクスとしての身バレ問題で 引き となりました。
 匿名シンガー「JELEE」として活動する竜ヶ崎ノクスの正体のキウイちゃんの身バレ、なんか遠いな笑。
 う、うーん…。キウイちゃんについてはこれ以上掘ってもなにも出てこないような気がするんですが、一応期待です。

               {/netabare}

 第11話視聴しました。
 {netabare} 最終回を目前にして、いや だからこそなのかこの作品の残念さはとどまることを知りません。
 話の本筋として腹を据えて向き合わなければいけないところを、自分の手癖で書ける内容でミスディレクションしてなぁなぁにしてしまう。

 この作品のキャラクターは展開の奴隷です。

 
 では、本編です。
 
 冒頭、竜ヶ崎ノクスの配信に本名をバラす荒らしコメントが寄せられます。
 キウイちゃんは第8話のライブシーンにて、「顔バレ?アンチコメント?関係ないね!」と息巻いていましたが、やはり自分の話となると違うんですね。


 OP明け、まひるを除いた3人でのミーティング、どうやら前回の木村ちゃんがバズっているようです。

 匿名シンガーとして活動しているのに素顔を晒されまくっていますね。
 なんだか、ここにきてまだ身バレうんぬんの話をしているのを見ると、あのライブの素顔をチラ見せする演出はマイナスなことしか生んでいないような気がします。
 まぁでも、そういえば基本的にこの物語は花音のやらかしの物語であり、真っ当に匿名シンガーやっていれば起こらなかった問題ばかりですもんね。

 モブのファンを出して、私たちが好きになったのはこのクラゲの女の子なんだから とかJELEEの歌が好きなんだから とか言わせているのに、結局 素顔が切り取られているやつが一番バズっているのは皮肉ですね。

 またしても不本意なかたちでバズってしまった訳なんですが、ここで この220万回再生をもったいない って言ってしまうのは、もうほとんど炎上商法みたいなもんじゃないか?
 「JELEE」としてそれで良いのか?とは思いますが、メンバーそれぞれ「JELEE」をどうしたいかなんて別に無く、バズればそれでいいんだから良いのか。


 その頃一方、まひるは雪音さんからリテイクを食らっていました。
 海月ヨルの良さがごっそり消えてしまっているようです、一大事ですね。
 まひるも十分焦っていますが、一番内心穏やかでないのはまひるを抜擢した雪音さんの方かもしれませんね。
 
 雪音さんは「成る程ね、あなたは自分の絵のことが好きじゃないのね」とズバッと見抜いてきましたが、ですが正直 この事は最初の打ち合わせの段階で見抜いていて欲しかったなと思います。
 こうなってしまうと結局物語の主眼が、自分の絵を好きになるには というこれまでと変わらないものになってしまっています。
 そして、まひるはこの事についてすでにこれまでの話の中で落としどころを見つけているはずです。
 その為の進路回でしたよね?


 それでもここにきてこの事についてやるんだ!と言うなら、まひるの「見ろ馬鹿」に対するお気持ち表明よりも描くべきものが他にあると思います。
 マジでノイズにしかなってないな「見ろ馬鹿」。


 修正案を出され、その通り直せと言われショックなまひる。
 さぞや事細かに指示されているんだろうなと赤ペンの内容を見てみると「今風に」とか「popな雰囲気で」などと思いの外ざっくりとしていて、服の構造についてやアクセサリーの造形についてなんかも「もうちょっと工夫して」とか「もっと詳細に」くらいの指示が散見され、正直 この通り直せと言われましても…みたいなレベルで拍子抜けでした。
 やっぱりそもそも、イラストとデザインでは勝手が違うんだろうな と思うものの、雪音さんも雪音さんでデザイン素人のまひるに無茶振りをするなら、ディティールの調整くらいは最初からサポートしてやってもいいのにとは思います。
 
 もし私が雪音さんの部下だったら、実績のない女子高生を大抜擢した結果 案の定上手くいってないことにめちゃくちゃ笑うと思います、いや笑い事じゃないか。
 このまひるに渡す用の修正案を任されたと思われる部下の人は、どういう気持ちでこの仕事したんでしょうね。


 それと、修正案を見てもう一つ思ったんですが…なんかそもそもデフォルメの具合からして全然違うんですけど、これは…要求に応えられなかったまひるが悪いのか、クライアントが急な路線変更をしたせいなのか、どっちなんでしょうね。
 
 
 まひるは壁画になったクラゲの絵を探すためキウイちゃんと出かけます。
 そこでまひるは「私って自分の絵のこと本当に好きなのかなって」などと のたまいます。
 自分の絵が好きになってきた という気持ちに自信をつけるためにこの仕事を受けたはずですが、逆に失くしちゃったんですね。
 
 花音がこれ聞いたらそれこそぶん殴っちゃいそうだな…。
 「JELEE」で描けばいいじゃん!というあの時の台詞がここにきてぶっ刺さっています。

 「楽しかったから…違うの…!」とか言っていたのに、いざ厳しいこと言われると凹んじゃうのね。


 その後まひるは身バレしたキウイちゃんのもとに昔の知人から心無いメッセージが来ていることを知ります。

 ここで意外だったのは、キウイちゃんって "まひるにだから" 見栄を張って嘘をついていたわけじゃなく、全員に同じ嘘をついていたんですね。

 よく、ここまでバレなかったな…。

 でもそんな中、まひるにだけはVチューバーをやっているor始めることを打ち明けたのか…キウイちゃん的にはどういう線引きだったんでしょうか。
 単純に 親しいから というだけではなく頻繁に誘われることに対して、もう一つ断れる理由が欲しかったからなんですかね。

 私は前回キウイちゃんの身バレ問題を "遠い" と表現しましたが、今一度整理してみたいと思います。

 「JELEE」のライブが話題になり素顔が切り抜かれる→竜ヶ崎ノクスの正体に関心が集まる→みー子さんのライブ代理の時の画像が出回る→渡瀬キウイだと断定される。
 ここまでは分かりますが、さらにもう一段階 不登校で嘘をついていた までバレるのは立北のヤツが言いふらしたんですかね?

 それにしても、キウイちゃんは少なくとも高校に入ってからは本格的な引きこもりをしていたにも関わらず、小学生時代の友達に直近まで何かに誘われる程人望を保っていたのはスゴいですね。(11/22に3件の誘いに対し、嘘ついて断りを入れているので)
 それとも、竜ヶ崎ノクスであるとバレたのと嘘をついていたことがバレたのには若干ラグがあるのかな?


 キウイちゃんは、過去は変えられない 私は見た目も名前も全部変えて新しい人生を歩んでいるのに、ちょっと身バレしただけですぐここに逆戻り と語ります。

 見た目も名前も変えたんならメッセージアプリも新しく変えていれば良かったですね!
 すぐここに逆戻り と言いますが、直近まで一人でも立北に知り合いがいればバレるような嘘ついているので、戻るもくそもないと思います。
 

 そして本来、同級生はこの時期、受験シーズン終盤 最後の追い込み真っ只中だと思うので、これらのメッセージは選りすぐりの精鋭なヒマ人たちから来ているんでしょうね。


 思い出深いゲーセンへとやってくると、案の定エリートヒマ人が登場します。
 地元の小ぢんまりしたゲーセンにたむろしているとは、さすがエリートヒマ人 やりますね!

 それにつけても、このモブの安っぽさったらないですね笑
 この子たちは高校3年生なんですよね?中学生ではなく。

 まひるのことはスゴいって思うのに、同じメンバーで かつ 8万人弱登録者がいるVチューバーをしていても、不登校ならそれらの加点が全部消えてむしろマイナスになるんだ…。

 この子たち学校大好きなんですね、むしろサボりそうな見た目なのに…。

 もう一回言いますけど、この子ら高校3年生なんですよね? もう学校は自由登校に差し掛かっていくようなこの時期に不登校イジり!?今さら!?

 まひるも下手に止めようとするより、「でも、キウイちゃん早稲田(作中表記ワソダ)行くよ?」で黙らせられそうですけど。


 そしてここから、キウイちゃん語気強く想いを捲し立てるターンです。
 まず、初手は「普通の奴にはわかんないんだよ!」から入ります。
 いや、キウイちゃん…多分その子ら割と普通じゃないと思うぜ…。

 そこからは大まかにすでに知っている情報をなぞるだけだったので、こちらもまた同じ感想を抱くしかありません。
 キウイちゃんが学校で馴染めなかったのは決して趣味嗜好が原因ではなく、その好きなものを一方的に相手に押し付けるコミュニケーション術の方であり、また、変化した環境でこれまでの傍若無人な態度がまかり通らなくなったことのギャップから勝手に潰れただけです。

 そして、決めの台詞。
 オレが作った大好きな自分のことを誰にも否定させるもんか!
 豪胆な台詞で大変結構なんですが、それを利用して現実の誘いを断るのはやめましょうね。
 それは何も知らない相手からすると嘘以外のなにものでもなく、否定させる口実を与えているのは自分自身です。

 後、個人的にどうせ開き直るなら「もう不登校じゃねぇ!中退だ!」まで言って欲しかったです笑

 さて、今回のこのキウイちゃんの叫びなんですが、前回は木村ちゃんだったから次はキウイちゃんの番ね とあらかじめ叫ばせるのは決まっていて後から中身を取敢えずで詰めたみたいな感じがするんですよね。

 そのプロセスが悪いわけではありませんが、最初ちゃんとキウイちゃんの痛い所を突いていたはずのモブがどんどんと いやそこじゃないやろ という部分を攻撃し始め、キウイちゃんのやりやすい方 ひいては脚本の楽な方へと降りていっているのが見え見えなのはサムいだけです。


 言いたいこと言ってスッキリしたキウイちゃんは今日も元気に配信をしています。
 んー…だから言ったじゃーん、キウイちゃんはこれ以上掘っても何もないって。
 ブロックしてスルーが最適解のこの問題で、もとより花音の身バレの時にも見せた鋼のスルースキルを持つキウイちゃんだと、スッキリする以上のことは起きないんですよ。
 そして今、キウイちゃんが昔の知り合いに対してスッキリしたところで、それがなんなん?って話なんですよ。

 もし、今回のキウイちゃんの叫びに意味を持たせるなら、叫ぶ相手は ほとんど僻みの域に入っていて これ見よがしな悪意を纏う頭の悪そうなぽっと出の昔の知り合い ではなく、一応キウイちゃん的にこうなった要因であり 同じくらいの学力を有し キウイちゃんの人物像を知らずフラットに"普通"としての意見を言える立北の生徒 であったほうが幾分マシだと思います。
 

 まぁそれより、もうちょっと花音やまひるの内面に対する比重を重くした方がいいような気がしますけどね。
 なんか知らない間に歌詞も絵も完成しちゃってるし…。


 これは完全に推測なんですが、脚本が一番書きやすいのがキウイちゃんなんでしょうね。
 自己表現として絵を選んだものの自分の絵を好きになれない女の子の苦悩より、歌う理由を見失ってしまった才能ある歌手の女の子がどんな想いを歌詞として綴るのかより、ただ学校に馴染めなかっただけの子の方が共感できるし創作について悩んでないから書きやすいんでしょうね。

 ただでさえ少ない引き出しなのに、中身もないだなんて始末におえませんね。
 

 この一件で何やら感銘を受けた様子のまひるは、今話三度雪音さんと相対します。
 
 「自分でなりたい自分を作って、そんな自分を誇って、自分が好きだって言い切って、私はそんなところが大好きなんです。私もそうなりたいんです」

 「これが私の絵です!」

 「これが私が好きな私の絵です!!」


 …えーと…うん。……ん?

 自分の絵が好きになってきたという気持ちに自信をつけるためにこの仕事を受けたものの、やはり分不相応であったことを痛感し 以前の悩みモードへ逆戻りしたけれど、この仕事とは関係ない件でのキウイちゃんを見たら、悩みがなくなりました!

 ってマジでまひるはモメてまでこの仕事受けた意味なかったな。
 この仕事だからこそ得られたというものが何一つない。
 
 で、ジャーン!っていって出されたヨル先生の絵なんだけど…さ…。
 自信満々の渾身の出来!といった様子で、話的にも一応ここまで引っ張ったものの、いまいち期待を越えてこないというか、驚きがないというか…。
 元も子もないこと言ってしまうと…アニメキャラをイラスト調に ってなんかあんま変化ないんだよなぁ…。

 雪音さんもこれでいいなら、別にまひるじゃなくて良かったような…。
 まぁ満足しているならそれでいいんですけど…。

  
 すっかり気が大きくなったまひるはここで切り込みます。
 「待ってください、一つ交渉したいことがあります。JELEEもこのイベントに出してください!」

 えぇ…どの立場で言ってるんやコイツ…。交渉ってなに?了承せんかったらこの絵渡さへんつもりなん…?

 メンバー内で決まってた企画放り出したくせに、今度は勝手に仕事とってくるんや…ドン引きやなコイツ。

 「JELEE」vs「サンフラワードールズ」は何が生まれるでしょうか、次回に期待です。

          {/netabare}

 最終話視聴しました。
 {netabare} 良いところは確かにあるものの、それを十全に活かしきれていない話運びをしてきた本作品。
 最終話はどう締めくくるでしょうか。

 
 では、本編です。

 前回の引きから、雪音さんに交渉をするまひる。

 「この切り抜きだけで300万再生、コメントはこの未完成曲の完成版を求める声で溢れています!」

 未完成となった一番の原因が何を言ってんねん。

 放送事故の切り抜きがバズったからっていうのは、前回でも書きましたが だから炎上商法やん って思っていたら、雪音さんからのフォローが入りました。

 例え炎上商法だと言われてもそこに美学があればバズだそうです。

 雪音さんに美学を問われ、「私は恩は返したいタイプなんです」と答えるまひる。

 いや、だからどの口が言ってんねん。恩にも返し方があるやろ。

 自分が曇らせの原因でありながら、解散危機は人任せ、自分の都合が終わったら勝手な判断で恩返しを決行する、なんか…DV彼氏みたいなマインドしていますね笑

 
 どうやら まひるの美学は雪音さんの美学査定を突破したらしく、ライブの出演が決まりそしてあっという間に当日を迎えます。
 
 キウイちゃんの配信にて、「炎上商法?顔バレを利用して話題に変えた早川氏の手腕はお見事…あぁその噂…そういう声も全部ぶっ飛ばすのがJELEEだろ!」

 うーん…?なんかこの辺り、内情を赤裸々に語るわけにもいかない ということを差し引いても違和感というか もやもやした感じが拭えません。

 なんか…雪音さんに全部責任をおっかぶせてないか?

 いや、そりゃまぁGOサインを出したのは雪音さんですし、雪音さんは責任をとる立場の人なんでしょうけど、(広い意味で)自分たちから出してくれって言ったのに、こういう認識なのがなぁ…。


 そして、会場へと向かう電車内。

 今だ心ここにあらずな花音に尋ねます。

 まひるさんのことですか?歌えるかどうかですか? それとも母親のことか?

 わからない…何をしたいのか、何が怖いのか…。

 ↑これは花音の本音というより、制作側の本音って感じがしますねw 
 色々とやろうとはしていたけど、なんか変な感じになっちゃってもうこんな終盤になっちゃったから、とりあえずフワフワさせとけっていう…。


 グループの不安定さを、無理言ってねじ込んでもらった他所様のライブイベントで払拭しようとするの、「JELEE」はめちゃくちゃ主人公していますね、悪い意味で。
 歌いたい気持ちはあるんだけど、なんか気分が乗らないからどうだろうなぁ、ってこれはどんな美学があるんでしょうね。

 野暮かもしれませんが、まひるとはライブまで2週間以上あったんだから話し合いでもすりゃいいのに。
 雪音さんとの打ち合わせとかもなかったんですかね?


 そしてライブ開始です。

 サンフラワードールズのステージは思いの外あっさり終わりましたね。
 苦労して作ったアバターも一瞬で、なんかショボ…いや、いいか…。


 いよいよ「JELEE」の出番です。
 解散配信で日本を賑わせたあの曲の完成版という触れ込みがなされていますが、歌詞全部変わっていますけどいいんですかね。

 歌う理由がないままステージに立つことが初という花音に対し、いや これ 依頼されたお仕事だからなぁ というマジレスはさておき。


 出番直前の2人との会話や歌い出すまでのシーン、この辺り なんだか花音の怖いと思う要因が、内的要因から外的要因にすり替わっているような気がして違和感を覚えます。

 花音は歌う理由としていた 雪音さんに見限られ まひるに捨てられたと思うことで、精神的喪失を味わい、歌手として半身をもがれた状態で歌うことは怖いという内的要因だったはずです。

 それが、シームレスに昔の事を思い出し、幻聴の野次や実際の野次などの外的要因で心が折れてしまっているのは話が違うと思います。

 観客を前にして怖くなったというのは良いと思うので、曲前の受け答えまではなんとか平常を保ち、曲がかかると観客の顔が見れなくなってくる 人の意見が気になる、というふうに内的要因が外的要因にまで "派生" していく様子を花音の心情を交えながらやって欲しかったなと思います。

 じゃないとまた結局 世間が悪くて私は被害者です になってしまいます。

 というか、リハはどうだったんですかね?


 花音の窮地を救ったのは、街並みが水族館になったかのようなプロジェクションマッピングとまひるの呼び掛けでした。

 まひる「花音ちゃーん!」は別に良いんですけど、まひるはこれ なんでサプライズにしたかったんですかね。
 雪音さんと高みの見物してる場合か。キウイちゃんと木村ちゃんもまひるのこと引っ張ってこいよ。


 無事歌いきった花音はまひると抱擁を交わし、「約束守ったよ!」アハハと笑い合います。
 あの約束って何が何でもできるだけ早く達成しなきゃいけないものだったんですね。

 ここをこういう風にしたいなら、フワッとしたすれ違いじゃなく第9話でもっとちゃんと本格的に花音とまひるは別離していて欲しかったな。

 その後、早川花音としてクレジットされているという感動的なシーンです。
 とても素敵でしたが、ここで橘ののかとして表記してある方が意味不明なので、当然の帰結ですね。

 この話で我々が得るべき教訓は、金とコネがあれば夢は叶えられる でしょうか。
 
 
 そして、ここから長いエピローグへと入っていきます。
 
 キウイちゃんは、お前たちハグレモノの味方だぜ!と声高に宣言してくれましたが、話していた進路通りなら自分はきっちり有名大学に進学しているので、あんま真に受けない方がいいですね。
 エピソードはほとんど嘘のくせに学力はあるってたち悪いな笑

 花音は卒業式の迎えに来てくれた雪音さんに、「お母さんの夢叶えてあげた」と言って颯爽と歩いていきます。
 きっと雪音さんは(ドームって単純な集客力以外のハードルがいくつもあって、それが大変なんだけどなぁ)と思っているでしょうが、そっと胸の内にしまいます。

 後々、花音もこの事実を知ってカッコつけたこの日の自分に悶えることでしょう。


 その後、新しくなったクラゲの壁画の前を花音のお父さんと思しき方が通りますが、晴れている中青い傘をさしている様子はもう完全に不審者でしたね。
 お父さん…意味深だった割に思った以上になんでもなかったな…。

 そして、まひるのポエムと共にオープニングのスチルを回収してEndとなりました。


 さて この最終回、内容そのものには見切りをつけ演出に全振りしたのは英断だったと思います。
 たっぷりエピローグでのかさ増しも功を奏していました。
 おかげで、読後感ならぬ視聴後感はスッキリとしています。


 この作品の全体について軽く言及すると…

 この作品は、あまりキャラクターに感情移入せず、展開の繋がりについて思考せず、ただ現状 画面で起きていることだけに集中する視聴方法がいいと思います。

 こういう部分が発展していくんじゃないかな という期待はことごとく裏切られていくので、第1話を視聴してからすぐ最終回を視聴するか、第3話まで視聴して取り敢えずキャラだけ認識して最終回を視聴するのが一番楽しめる方法なんじゃないかと思います。

  {/netabare}
 

投稿 : 2024/09/07
♥ : 15
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

タイトルに負けた。1話と9話と結末がぶれて何が言いたいか見えなくなりました。

 やっぱり花音の9話のセリフ「私がいたから泳げた」が引っ掛かるのと、その回収ができていない。1話の「夜のクラゲ」の意味性が何かボンヤリとした、渋谷の水族館に置き換わってしまった。そのせいで、テーマ性が失われてせっかくネットや在野(ストリートとか)で活躍クリエータ全体の応援の話になるのかと思ったら、結局メジャーがゴール的な感じ…いや、違うか…ここがちょっと読み取れなかったかも。とにかくステージとか母親の意味がよくわからなかったです。ミーコも視点は良かったのに使いきれませんでした。

 題名や実際に参加しているクリエータを見るとそういう意図が感じられるので、何かの理由でぶれたんでしょうか。もっととんがった話を準備していた気もします。

 それほど手抜きのアニメの印象もないしなあ。うーん、正直もったいない。本当にもったいなかった。それはやっぱり9話以降のメイン2人の使い方、特に花音がもったいない。
 9話以降が1話からブレブレですよね。物語の中で激情に駆られて口に出したセリフはやっぱり「本音」と捉えるべきだと思います。まひるへの嫉妬とも取れますけど、殴ったシーンの周辺の花音からすればまひるの「独自性」への評価より「メジャー」「アイドル」への想いが強い描かれ方ですからね。
 つまり、9話のセリフがまひるに対する本当の評価であり、自分のために利用した、と読み取れます。そこからの花音の心の動きを描かないでいつの間にか和解しているという感じでした。

 毒親やアイドルへのあこがれと過去の事件と自分が置かれた立場のジレンマ。その状況で自分がどう創作や表現と向き合うか、が全く描かれていない気がします。
 ハッピーエンドの方が評判がいいという意図なのかなあ…それともメタでバンドを機能させたいの?この凡作感はちょっと…残念としか言いようがないです。話的には多分いうほどひどい話でなく、バンドものの中では面白い方だと思うんですけど、せっかくとんがった「夜のクラゲはおよげない」というタイトルに内容で負けてしまった感じで、がっかり感の方が大きいといえば良いのかな。

 1話~9話の構成の使い方がもったいなかったかな。9話が5話くらいで花音とまひるが仲たがいしてからが本場ならもうちょっと違った気がします。

 ということで作画は動きはそうでもないですが、きれいで丁寧でした。4.5…は盛りぎ?声優さんも悪くなかったですので4。歌はごめんなさい私には響かなかったので3.5にしておきます。ストーリーはがっかり感を表現するためあえての2.5、キャラ造形はよかった。素晴らしかったといってもいいです。ただ、花音がなあ…まあ4.5-2で2.5にしておきます。

 評価点よりは楽しめた気もしますが、落胆も大きい作品でした。逆にもしかして、再視聴するなどで筋が通ったものが見つかれば評価は上がるかもしれません。




以下 視聴時のレビューです。


1話 内発的なものを描けるか友情感動ポルノどまりか。期待枠ですが…

{netabare} 平凡か特別な才能か、それは前提として才能があるのかないのか、特別になるための努力の過程、結果が出ない苦悩、周囲との軋轢、ライバルとの切磋琢磨、俺TUEEE、障害が降りかかってくるのを2人ではねのける、2人の間の熱いバトルと友情、シリアスの見た目のイチャイチャ日常もの、アイドルもの…どのルートにも行く可能性があります。もちろん組み合わせも。どれをとってもテーマ自体は平凡です。

 前提は説明的すぎて余韻も何もないのが欠点の様な気もするし、現代的で文学性よりも分かりやすさ重視で情報の処理がしやすいかもしれません。2話分を1話で説明しきった感じです。
 行間よりも感動という感じもします。どちらがいいかは作品の出来ですので今後の作品の質ありきでしょう。

 質は2話3話くらいまでで方向性を見たいですね。ただ、意外なテーマ…にはならない気がします。そして結論を見ないと評価はできないかもしれません。

 本作の価値はテーマ性よりもどんな「ドラマ」があるのかかなあ。テーマを伝えるメッセージ性が感情作りに落とし込まれているかどうかですね。本作の2人であれば「内発的」なものが描けるかが重要でしょう。
 いずれにせよ「感情」の作品になりそうな気がします。挫折や軋轢のカタルシスが、友情や成功ありきの感動ポルノにならなければいいのですが。

 オリジナル作品だけに秀作になりそうな期待値が大きい分、ひどいときはひどいでしょうからがんばってほしいです。

 作画はいいです。というか全体的にクオリティは高いです。音楽は作詞に40mPと出てましたが「タイムマシン」の人ですよね?作曲じゃないんだ…というのが意外でした。{/netabare}


2話 記号的な物語の進行で、誘導されている気分。解釈の幅が無いかな?

{netabare} この5年くらい、記号的な表現、データベース的なエピソードにライドして自分の中で感情を盛り上げて見る、という前提で作品が作られている気がします。いや、手塚治虫以来、マンガ、アニメは記号なんですけど、特にそれが強まっている気がします。

 本作は特にそれが顕著で、非常に記号的、情報的で感情の盛り上がり方を演出と音楽と合わせて、作品に全部指示されているような気がします。1話でもそういう感じが強かったんですけど、2話のめいのストーリーは、なんていうか記号の塊に感じました。

 彼女の2年前の状況から、なぜラストで花音を受け入れることができたのかが全く分かりません。それは内面描写が薄いからです。感情の描写はあります。状況の描写はあります。ですが、一番重要ななぜ花音に対する自分の感情が変化したか、その感情の移り変わりの理由が描けていない気がします。もちろん昔の約束というきっかけはあるんでしょうけど…その時の感情の動きが良くわかりません。

 その作り方が全部悪いかと言われると、理解しやすさや感動のしやすさなどで、いい面はあると思います。いたずらに難解にするよりは余計な考察に頭を使わない分、物語に集中できるかもしれません。ただ、解釈の重層性というか幅が少ないんですよね。

 それと本作はコンセプトとして、サブカル集大成みたいなところがあるんでしょうか。サブカルというものが現状で成立しているかは分かりませんが、ニコニコ的なクリエータを「使って」それっぽく仕上げている気がします。それがいい方向にも出ている気がしますが、これも作品の色付けが露骨に意図的なので、少し本作のコンセプトそのものが見えてしまい、冷める気もします。

追記 そうそう2話に関して言えば比較対象の「ガールズバンドクライ」の方が面白かったです。{/netabare}


3話 よくできているし感情も動きますが、余韻がない気がします。

{netabare} 相変わらずアニメ作品としてのレベルは高いのですが、やっぱり一本調子かなあ。引きこもりについての深掘りがなくイコール不幸な状態、友情の力で…のようなデータベース的エピソードです。

「怪獣8号」でも感じましたが、この「型」を使った作品は感情は動かせるとは思います。ただ、やっぱりブレ幅が少ないテンプレートなので、行間も余韻もないんですよね。
 その高度な例が「ヴァイオレットエバーガーデン」だと思うんですけど、感情が動くわりに、見終わったあとすぐに違うことを考えれらる感じです。モヤモヤ、ザワザワ、イライラ、ムカムカ、ホノボノ、ポカポカ、ドキドキ…どんな余韻でもいいんですけどそういうのが欲しいかなあ。

 よくできた作品だとは思います。メッセージも伝わってきます。感動もできるでしょう。ですが、後に残らないなあという感じがします。 {/netabare}


5話 独自性のあるイラストが自分らしさだったのでは?拒否反応が強いので断念します。

{netabare}  1話で1つの出来事がシーケンシャルに解決してゆくというのは、わかりやすくていいんですけど、どこか紙芝居を見ているような印象になってしまいます。そこが少し合わなかったです。

 また、対比として元のアイドルを出してくるのもいいんですけど、彼女たちと争うことにカタルシスを頼ってしまうのでしょうか。あるいはヒロインたちの方が成功してしまい、それでひと悶着あるのかな?

 まあ、それが花音の毒親というか依存からの脱出になるのはいいと思いますが、要するに当て馬にしか見えません。描き方によっては両方の正義も考えられますが、アイドルグループがわかりやすく性格が悪いので結局アイドルの方が悪かった、で終わる?

 で、5話です。この作品の主題であったまひるのイラストの話なんですけど、イラストの技術の問題に帰結していいものなんでしょうか?壁に描いたクラゲの絵は誰もわかってくれないけど「自分らしさ」であり、分かる人には深く突き刺さる。そこにアートがあったはずなんですけど…そこは回収できるのでしょうか。

 そもそもファンアートで実力がある人が厭味ったらしく技術を見せつけるのを否定してこそ、この作品の主題だと思っていたのですが、みんなでほめちゃってるし。水族館でクラゲを見た後に出てくるイラストがあんなに平凡でいいの?という気がします。そこがテーマでないならもういいかな。

 ということで、ちょっとこの作品に対して、我ながら拒否反応が強いのでもうやめておきます。サブスクのあらすじはチェックして、意外性のある展開になれば見るかもしれません。{/netabare}


 6・7話未視聴で8話・9話を見ました。あまりのひどい展開に唖然としてしまいました。逆に興味がでたので視聴を再開します。


{netabare} あらすじで確認したところ、身バレと殴った理由というのがわかったとのことで、8話9話見たのですが…これは10万人達成で「贖罪」が済んで殴った理由が「正義(笑)」だから?その話はオールOKという理解でいいのでしょうか。

 話の内容そのものにも納得感はないですが、それはお話なのでいいです。ただ、殴ったことの感情がその後の花音の「生き方」つまり「自分が信じるアート表現」にどういう影響を及ぼしたのかが描かれるべきでしょう。「なぜ暴力をしたのか」という自分の内面を咀嚼すると、売れることありきはおかしいという心になった。

 つまり暴力はアイドルの否定からのロック…だから、夜のクラゲに共感したのではないのでしょうか。1話を見る限りこういう解釈になると思うのです。ですが、今の8話9話だと花音がアイドル的なものに否定的になる要素はないし、メジャー志向ということ?

 うーん、ここからですよね、本来は。これは「どこにも正義がない状態」ですし「贖罪とは」「売れるとは」「アイドルのペルソナとは」「成功とは」ということと「母親P・メジャーVS娘・マイナー」の戦いの構図になるべきところでしょう。

 そこから「人の心に響くアートとは?」=自分らしさの表現論、つまりマスメディアが死んでネットの世界で活躍する個人の時代が来る、とか権威主義や大衆の萌えへのアンチテーゼが描かれるべき素材だったと思います。

 もちろん違う方向性でもいいんですけど、しかし「夜のクラゲ」と「事件」を重ねるような部分を描かないで、母親Pのおそらく陰謀に安易に取り込まれるまひるのなんと安っぽい事。暴力事件への復讐なのかもしれません。

 それにしても水族館ってなんだよ、ということです。クラゲ=力のないクリエータの卵。それが自由にアートができる空間を作りたいにつながるならわかりますけど。

 いったん中断した作品に再び酷評のレビューをするのも何ですが、1話がいい出来だったので気になる作品です。それがこういう展開になるのは残念です。散らばっている素材はいいだけに、もうちょっと何とかならなかったのか?という気がします。

 ちょっと、物語として「なぜこういうことになった?」「1話のテーマはどこで消えたのか?」に興味があります。いったん中断してましたが、ちょっと分析的に見たくなってきました。一応、視聴中にステータスを戻します。それで本当にひどい話なら評価をかなり低くするつもりです。{/netabare}


6話後付け視聴 なぜこの方向を深掘りしない?素材はいいが生煮え感。

{netabare} このバツイチ子持ちアイドル(31)って、一つのテーマですよね。もちろん「推しの子」と重なるしアンチテーゼにもなります。

 超高齢化、少子化社会において、30代で非処女系の清純派の母親というのを定義してみんなで萌えるという道筋を、このアイドルを使って描けていれば独自性という点で非常に面白かったと思います。
 また、ある意味の究極の少子化対策です。「子持ち、カッコイイ」です。

 隠れて秘密ではなくて、子持ちアイドルとして絶大な人気になる方向性…そこにプロ意識とか努力とか周囲のちょっとした協力とかネットの力とか、そういうのが描けていれば「夜のクラゲ」という言葉からイメージする内容に寄り添ってゆく気がします。

 このキャラはよかったと思いますが、ジェリーフィッシュの誰かがこの視点で、自分を変化させられなかったのか?と思います。やっぱり素材はいいんですけどね。生煮えばかりの作品だなあという気がします。{/netabare}


10話 1話を全否定する9話の花音のセリフをどう回収するかでレベルが決まるでしょう。

{netabare} やっとテーマに近づいてい来たなあと思いましたが、微妙な展開です。花音の被害者ヅラはなんなんでしょうね?悲劇のヒロインを気取っていますが、人のスマホを見て正義ぶって殴ったりして芸能活動が続けられなくなって…

 ただ、心理学的な母親依存している娘の造形になっている気もします。自分が承認されるために手段を選ばない。つまり「夜のクラゲ」に感動したことが嘘だった…ということであれば、面白い展開ではあります。
 花音が冷静になって、そこに自ら気が付いて、2度とジェリーフィッシュの活動ができない、という状態になるのは、ストーリー的に急激な展開ではありますが、自然な反応かもしれません。

 ただ、もう10話ですからね。あと2話で本格的な決裂のあとの回収ができるのかを10話の終わり方で見ると、まひるが「花音に見合う絵が描けるように」とか言って技術論ですごい絵がかけた…になる気もするし、めいが頑張ってうたっているのに感動して花音が「わたし…間違ってた」とか言って、ライブに入ってきたら噴飯ものの展開です。

 そこをどう乗り切るのか。9話の花音のまひるに対するセリフがこの作品のキーワードで1話の全否定のセリフでしょう。「感情のまま言ってしまった」ではなく「心の底からの本音だった」と言えるかどうかで作品のレベルが決まってくるかな、という気がします。

 それにしても、みー子の使い方よ…もうちょっと何とかならないのかなあ。{/netabare}


11話 この11話を深掘りしてほしかった。パーツも視点も良いのにもったいない作品だなあ。

 11話の内容をもっとじっくり描いてくれていればなあ、という気がしました。技術論に走って描きたいものではなく上手いものを描いてしまっているまひるの覚醒ですね。

 この覚醒のやり取りをしている母親の内面とか想いが、つまり花音に対する態度だった…ということになるなら、テーマとしてはそれほど珍しくないでしょうが、ガールズバンドもの…というか、ネット上で創作活動をしている人へのメッセージという意味では最高だったと思います。その点でまひるがマスに迎合しているのがいいのかという問題もあると思います。

 それと花音の「売れたい」=「母に認められたい」という気持ちの持っていき場が1話を否定してしまている件の回収ですね。これは覆水盆に返らずですから、自分の本音として受け入れたうえで反省ではなく、母との決別とかネット上での仁義とか何かほしいなあ。なんか、10話のめいの歌でごまかされますけどね。
 ミーコとかいいキャラですが、扱い切れないなら切ってしまえば良かったのに…キウイの話も展開はわかるんですけど、唐突ですよね。

 何かもうちょっとメッセージを絞って、特に「夜のクラゲ」=オリジナリティでネットという場だからこそ自分自身を表現できるんだ…それが認められるの方が話としては深くなったかなあ。

 仲間ごっこで終わるかどうかです。全体として「パーツも視点も共感できるのにもったいない作品」だなあ、という気持ち強い作品でした。もちろん最終回しだいだし、最終回がよければ中盤集中して見ていなかった部分を拾ってみますけどね。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 22
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

炎上火遊びに一矢報いた爽快感と、匿名と虚像を貫けなかったモヤモヤ感と

【物語 3.5点】
ネット上の匿名アーティスト・JELEE(ジェリー)の制作活動を題材にした青春劇という大枠から固めていったという本企画。

こうした設定・世界観に後からキャラ、シナリオを詰め込んでいくスタイルには、
一話完結の構成がコンパクトでよく馴染みます。
本作もまた中盤過ぎまでは、才能と青春、匿名活動の裏に隠された葛藤などについて、示唆を与えてくれる。
毎回良エピソードを堪能できる安定感がありました。

が、一方で骨格となるテーマも後から練るとなると、
メインストーリーとなる1クール単位の大風呂敷を広げる際に、
足腰がグラ付くリスクが生じる。

本作も終盤9話以降、{netabare} 花音と敏腕プロデューサーの母・早川雪音の親子の確執。
雪音にイラストの才能を見出されれ仕事を依頼された光月まひるが、
才能を試す好機を優先し、JELEEの活動を一時中止して、
まひると雪音の蜜月関係にヒビが入る。
{/netabare} という波乱からメインストーリーを大きく動かしていくわけですが、
私は、伏線を要素として回収する際の接続がやや強引に感じ、折り合い辛かったです。
怒涛の展開と好評することも可能ですが、私は唐突感の方が上回りました。

匿名アーティストが主役とあって、ネット、SNS描写についてもトレンディーで、示唆に富んでいた本作。
学校や実社会では輝けない“普通じゃない”連中が、
個性を発揮する場としてのネット、SNS。
だが“変人”も発見してくれチヤホヤしてくれるネット界隈は、
キッカケ一つで手のひら返して炎上騒ぎで才能を焼く凶器にもなる諸刃。

身バレの危機を前に匿名活動をどうしていくかも、
メインストーリーの大きな柱でしたが、
結局、身バレ系のネット炎上案件に対しては、諸々晒して信念を貫く、“有名税”を支払って、匿名でバッシングしている連中との格の違いを見せ付ける勇気が必須。
アーティスト活動のキッカケは嘘の匿名でも、最後は実名で真実を明かすのが正しいあり方という図式から、
本作も脱却しきれなかったのが個人的に心残りでした。
もっとも、地下アイドル・みー子が開き直って{netabare} バツイチ子持ちアイドルであることを{/netabare} カミングアウトする6話は、
意志があれば何時までも輝けることを示したマイベスト一話完結エピソードではありましたが。

匿名アーティストが顔を出さないまま紅白出場を果たしたりもする昨今。
匿名アーティストを題材とするならば、そろそろフィクションもネット上の匿名と虚像を肯定し貫き通す作品提供でアップデートしても良い頃合いなのでは?

総じて良い物語ではありましたが、個人的にはモヤモヤした余韻も残る幕引きでもありました。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・動画工房

キャラクター原案・popman3580氏はSNSで、
まひるの劇中イラスト原案・はむねずこ氏はpixivで接触、オファーと、
スタッフ集めもネットからと言うのが、匿名アーティスト・JELEEと親和性が高い陣容。

popman3580氏は、ストリート系ファッションの花音など衣装デザインも上々。
はむねずこ氏のクラゲ壁画は、泳げないけど光を浴びれば輝ける私たちをセリフ以上に体現して、物語の要所で重宝。

動画工房の主力・谷口 淳一郎氏。
近年は“作画育成監督”として後進の指導役も買う谷口氏ですが、
本作では育成役も兼任しつつ、キャラクターデザイン、総作画監督として健在ぶりを示す。

夜のネオンがきらびやかな渋谷の背景美術と、キャラクターが融合した映像もまた、
若き“クラゲたち”の才能が光る“水槽”を表現。
その中で画風が異なるJELEEのMVも入り乱れるなど、若々しさが溢れたアニメーション作品でした。

トラウマや劣等感で登場人物の心が曇る際に、画面が揺らぐ心情表現でチクリと刺してくるなど、
撮影もまた挑戦的でした。


【キャラ 4.0点】
匿名アーティスト・JELEEに関わるJK4人。

イラストレーター・海月ヨルこと、光月まひる。
平時は“普通の量産型女子高生”として身を守っているが、
自分より上手い絵に直面したらちゃんと嫉妬するなど、
才能が問われると、ささくれだって引っ掻き回してくれる主人公力を有する。

歌唱担当・JELEEこと山ノ内花音。本名・早川花音。
元はアイドルグループ「サンフラワードール」のセンター・橘ののか。
昔メンバーを殴って“燃えた”過去を持つ。
そのトラウマにはプロデューサーの実母に承認してもらいたいという愛憎も絡み、
終始、波乱要因となる面倒くささも備える。

作詞作曲担当・木村ちゃんこと高梨・キム・アヌーク・めい。
橘ののか推しの“ドルヲタ”でもあり、“ののたん”に憧れ容姿まで合わせるなど、ヲタ度は重度。
推しがどんなに燃えて叩かれても、好きと言い続ける推し活姿勢。
私が一番共感したキャラクターでもあります。

MV担当・Vtuber・竜ヶ崎ノクスこと渡瀬キウイ。
現実の学校で受け入れられなかった、自分は最強のヒーローという個性を、
匿名のネット空間で体現して発散している不登校児。


など一式揃えた感のメインキャラ陣。
上述の通り、匿名はトラウマから一時逃避したり、キッカケとしては良いですが、いつまでも嘘を重ねるのはよろしくないので、
いずれ真実や実名を曝け出せれば格好良くてハッピーですよねというステレオタイプが、
匿名アーティストを描く作品としては、個人的に不満が残るキャラ設定で、ここまでなら3.5点止まり。


4.0点に達したのは脇が強烈だったから。

地下アイドル・みー子は、JELEEとパフォーマンス場所を争う当て馬かと思いきや、
エピソードでメインも張れる逸材でしたし。

花音の母・早川雪音のプロデューサーぶりは、
タレントの承認欲求をくすぐって仲間に引き込む人心掌握術、
{netabare} メロを手駒に使った{/netabare} 裏工作含めて怖いくらいプロフェッショナルで、
敏腕ですが近寄りたくないですし(苦笑)

バイク教習所で出会った小春さんも、豊富なオタ知識などスパイシーなサブキャラでした。


【声優 4.0点】
光月まひる役・伊藤 美来
山ノ内花音役・高橋 李依
渡瀬キウイ役・富田 美憂
高梨・キム・アヌーク・めい役・島袋 美由利
(以上敬称略)

というJELEE関連の布陣。
各々、要所で激情をぶつける熱演がありましたが、見事に決めて、視聴者の感情を揺さぶって来ました。

その中でも特に10話の島袋さん。
{netabare} 木村ちゃんの“放送事故”級の音痴歌唱にJELEE存続の意地を込める怪演。
絶妙に音程を外すのは普通に歌うより難しいそうで。
キャスト自身も音痴の鍛錬を重ねた末のアフレコだったとのこと。
そこに泣きの演技も入った魂の“暴投”熱唱。私も聞き入りました。{/netabare}


敏腕プロデューサー・早川雪音役の甲斐田 裕子さん。
裏で結構えげつないこともしているが、その言動の奥には彼女なりの美学がある。
そんな生き様を好表現した芯のあるボイスで舐めるように、
裏で積み重ねた努力とか褒められちゃったら、誰だって陥落しちゃいます。
誠に手強い“ラスボス”役でした。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は横山 克氏。
ピアノとストリングスの心情曲が真骨頂の作曲家ですが、
近年志向するのはエレクトロ・ポップも取り込んだ幅広い楽曲表現。
渋谷のネオンにもマッチした電子サウンドの数々に探求の成果が現れています。

劇伴収録を、イタリア、ブルガリア、日本で分散して敢行し、感情表現の違いを出そうとしたという試みも野心的。
ですが、正直、私には、収録場所まで聞き分けられる感性はありませんでしたw


JELEEの劇中歌、ED主題歌の作詞・作曲を担当した40mP氏はボカロ界隈からと言うのも本企画ならでは。
JELEEの楽曲群は刺してくると言うより、電子サウンドで癒される印象。
街で泳ぐクラゲたちなどという歌詞の世界観も一貫しており、
渋谷を水族館にしちゃおうとのJELEEの野望も体現。

OP主題歌はカノエラナ「イロドリ」
軽快に韻を踏みつつ、力強い歌唱で、鬱屈した日常を打ち破って夢を追う良作青春ソング。

ED主題歌はツルシマアンナ「1日は25時間。」
ゆる~い歌唱の中に、制作に没頭し過ぎて1日24時間じゃ全然足りない!とのアルアルを入れる、こちらも良作青春ソングなのですが、
前半は、しばしばEDがJELEEのMVにジャックされ、飛ばされることもあったのが不遇w

が、最終話では{netabare} 人間の体内時計は25時間{/netabare} というウンチクと共に、
同曲のJELEE歌唱ver.で締めくくりEDの面目を保つ。

投稿 : 2024/09/07
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